2024.06.14 【やさしい業界知識】接合技術

レーザー加工機の一例

電子機器の製造に不可欠

はんだ付けや溶接などの工法

 接合とは、「金属を溶かして接合する加工方法」で、金属を加熱もしくは加圧することで融点に達して溶けはじめ、冷却し固まると一つに接合する。製造業にとって必要不可欠な基盤技術だ。

 電子機器の製造工程で広く活用されているが、スマートフォンや電気自動車(EV)など新しい電子機器の登場で、新しい溶接・接合技術が開発されている。

 電子機器の製造工程で用いられる接合技術は「はんだ付け」「抵抗溶接」「ヒュージング溶接」「パルスヒート接合」「拡散接合」「レーザー加工」などさまざまな工法がある。

部品と回路基板接合

 はんだ付けは、電子機器に用いられるプリント基板の配線を電気的に接続するために必要な工法だ。はんだはスズ(Sn)、銅(Cu)、銀(Ag)などの合金の一種で、融点は250度前後。はんだごてやフロー、リフロー装置ではんだを溶解し、温度が下がれば固まって電子部品と電子回路基板が接合される。

 抵抗溶接は、金属を挟み込んで圧力を加えて電気を流すと、金属自体の抵抗によって発熱する原理を応用して金属を接合する方法だ。

 ヒュージング溶接は、絶縁被膜導線と金属端子を溶接する際に、絶縁被膜を溶かして中の銅線と端子を接合させる溶接方法。主に、モーターのコイル線とコミュニテーターの接続、リレー部品などの各種成形ボビンでコイル線と端子の接続に用いられている。

 パルスヒート接合は、セラミックヒーターを瞬時に温め、その熱で被溶接物を溶かし、部品への熱影響を抑えた局所加熱による接合方式。フレキシブル基板とプリント基板のはんだ付け、AFC(ガラス+フレキシブル基板)の熱圧着などを接合する際に使われる。

 拡散接合は、真空中で金属を融点以下の温度で加熱・加圧し、原子の移動(拡散)によって接合する。厚さマイクロメートル単位の金属板を複数枚積層した立体構造(3D)にマイクロ流路を設けた構造に加工し、パワー半導体を冷却するなどの用途がある。

レーザー光で熱加工

 レーザー加工は、発振器のレーザー光をミラー(またはレンズ)により集光してエネルギー密度を高め、金属などのワークに照射して熱加工するものだ。これまでファイバーレーザー、YAGレーザー、CO₂レーザーなどさまざまな方式の加工機が製品化されているが、最近は青色レーザー加工機への関心が高まっている。

 青色レーザーは、従来のレーザー加工に用いられるレーザー光の波長より短い紫外領域の360~480ナノメートルの波長を用いる。青色レーザーによる加工は赤外波長に比べて銅に対する吸収率が高く、特にEVモーター開発・製造で多用される銅材料へのレーザー加工に適している。(毎週金曜日掲載)