2024.06.21 【やさしい業界知識】スイッチ

電気回路の開閉、切り替え用部品
車載用の新製品開発が活発化

 スイッチは、電気回路の開閉や切り替え用の機構部品。ヒューマンマシンインターフェース(HMI)/マシンマシンインターフェース(MMI)をつかさどるデバイスとして、ワールドワイドで使用されている。

 スイッチの和訳は「開閉器」だが、実際の製造現場では、電力機器・設備などに用いる大型のものを開閉器、電子機器に用いる小型の製品をスイッチと呼ぶ場合が多い。

操作系と検出系

 スイッチの分類は、機器の信号切り替えや電源のON/OFFなどに使用される操作系スイッチと、機器内部に組み込まれ、人の手では直接操作しない検出系スイッチに大別される。

 このほか、ユニットスイッチとして、リモコン(リモートコントロールスイッチ)や操作パネル(OA機器用操作パネル、タッチパネルなど)、キーボードユニット、ゲーム機用コントローラーなども、電子情報技術産業協会(JEITA)ではスイッチに分類している。

 スイッチの用途は広く、スマートフォンやウエアラブル端末などのモバイル機器をはじめ、パソコン/コンピューター関連、音響・映像機器、白物家電、事務機器、FA機器/製造装置、通信インフラ、計測器、自動車、電力システム関係、放送機器、医療機器/ヘルスケア関連、遊戯機器、鉄道車両、航空宇宙・防衛関連など、あらゆる工業製品分野で使用される。

 操作系スイッチの種類は、形状別に、押ボタン、スライド、トグル、ロータリー、ロッカー、キーロック、タクト型、DIP(デュアル・インライン・パッケージ)など多彩。センサー機能を持つ検出スイッチも、各用途に合わせた多様なタイプが商品化されている。

 製品開発面では、モバイル端末の小型薄型化に対応した微細化追求や、操作感触や使い勝手向上、高信頼・長寿命、防水・防じん対応、低コスト化などの追求が活発。特にスマホ用では、超小型形状と高信頼性を両立させるため、高度な機構設計技術や微細精密加工技術が活用される。

車載の使用増加

 近年は、車の電子化進展に伴い、自動車1台当たりのスイッチ使用点数が増加し、スイッチメーカー各社の車載用スイッチ開発の取り組みが加速している。高級車のコックピットなどに搭載される操作スイッチでは、良好な操作感触の追求や、高級感のある操作音の作り込みなども重要。産業機器用では直流スイッチ開発などに乗り出すメーカーも増加している。

 スイッチ単体の供給に加え、スイッチの接点技術を応用したカスタムモジュール/ユニットの展開にも力が注がれる。近年は環境保全の観点から、省材料設計やスプールランナーレスなどの取り組みも進展している。

根強いニーズも

 最近の電子機器では、従来の操作用スイッチから、直感的に操作できるタッチパネルへの移行が進むなど、操作用スイッチ市場には逆風もあるが、確実な操作確認が必要とされる用途などで、メカニカル式の操作スイッチには根強いニーズがある。近年はタッチパネル入力が主流のスマホやタブレット端末などのIT端末でも一部の有力端末メーカーの機種では、小型スライドスイッチなどが引き続き搭載されている。(毎週金曜日掲載)