2024.07.25 【半導体/エレクトロニクス商社特集】東京応化工業 情報端末・クラウド・センシング&IoT・グリーンエネルギーの4分野で成長

種市 社長

▶画像ギャラリーへ

 東京応化工業は、半導体の進化を支えるエレクトロニクス機能材料や高純度化学薬品を手掛け、四つの半導体成長分野「情報端末」「クラウド」「センシング&IoT」「グリーンエネルギー」を成長ドライバーと位置付けている。

 2月に長期ビジョン「TOK Ⅴision 2030」を見直し、2030年度の売上高目標を3500億円に引き上げた。

 背景について種市順昭社長は、半導体市場での「三つのゲームチェンジ」を挙げる。「一つ目はコロナ禍を契機とする人と人とのコミュニケーション方法の変化。二つ目はカーボンニュートラルへの世界的な動きでパワーデバイス市場が変曲点を迎え、レガシー材料需要の増大が見込める。三つ目は生成AI(人工知能)の普及による世界のデータ通信量増大。いずれも半導体市場にはポジティブ」と説明。

 事業動向は「今年に入り、生成AI関係、特にメモリーの好調さが続いている。円安もあり追い風が吹いている」と話す。

 同社は長期ビジョン達成に向けた積極投資を進めている。6月には「阿蘇くまもとサイト」(熊本県菊池市)に高純度化学薬品の新工場が完工し、25年年明けの稼働を予定。郡山工場(福島県郡山市)新棟建設にも着工した。「新棟は一工場として最大規模・最高品質の半導体用フォトレジスト製造拠点となる」(種市社長)。

 韓国では半導体用フォトレジスト検査能力増強のための新検査棟建設に着工し、新工場用地も手当てした。

 「tok中期計画2024(3カ年)」では五つの戦略に①先端レジストのグローバルシェア向上②電子材料および新規分野でのコア技術の獲得/創出③高品質製品の安定供給とグループに最適な生産体制の構築④従業員エンゲージメントを向上させ人を生かす経営の推進⑤健全で効率的な経営基盤の整備--を掲げ、おおむね計画通りに進んでいる。

 23年3月に装置事業をAIメカテックへ譲渡した。「装置事業に携わってきた人材がフォトレジストなどの電子材料分野で活躍し、装置事業経験者の目線で材料や工場に関する検討を進めることで、新たな展開を期待している」(種市社長)。