2024.07.30 【家電流通総合特集】アトムチェーン本部の取り組み 川﨑潔副社長語る

新FC店の研修(第1回の様子)

ブランド力強化や自然体営業

新FC体制をスタート

 アトムチェーン本部は、店のブランド力向上・自然体営業を目指す新FC店体制のスタートから4カ月が経過した。夏商戦の好調さを勢いに、従来のFC店と共に取り組みを強化している。今後の秋商戦に向けては、エアコンを中心に防災関連商品も提案。11月の一斉個展に向けて準備も進める。川﨑潔副社長に現状と今後の取り組みを語ってもらった。

 4月から店のブランディング向上を目指す組織・新FC店体制をスタートした。新FC店に参加した21店が月に1回の講習会に臨み、店のブランド力強化や自然体営業への取り組みに注力している。従来のFC店と共に活動を強化している状況だ。

 新FC店のコンセプトは「くらし・でんきのコンビニ」。現在、統一看板の設置を推進し、シートなどでコンセプトを掲示している。注力すべき6項目8種類の販促策を推進し、店のブランド力を高めながら、顧客の方から自然に買いに来てもらう「自然体営業」を目指す。

 新FC店の21店はリアルとウェブを組み合わせ、月に1度ブランディング研修を受けている。講師は南九州デジタルの櫻木隆志取締役やチェーン本部の担当者。ブランド力強化のための基礎的な研修を進めている。店の顔となる人で差別化を図り、勝ち残りに導く。取引先とのパートナーシップ強化を視野に入れた取り組みにもつなげる。

 研修では新FC店も積極的に意見を出せるように双方向で話が進むようにしている。店自身がブランディングの向上のために必要なことを考え、「店の存在意義」などへの気づきにつながる取り組みを推進している。商品は顧客の生活向上に寄与する暮らしをアップデートできるものに注力。

 今後も1カ月に1度のペースで研修会を行い、継続的に活動を進める。成功事例を共有できる機会を設けることも検討。良いものを共有しながら、お互いが高め合える組織とする。

 4月からのチェーン全体の売り上げは前年比110%のペースで推移している。商品別ではエアコンが金額で同106%、テレビが同104%、洗濯機が同112%、冷蔵庫が同93%と大型商品がおおむね順調に推移している。リフォーム、オール電化商品ではエコキュートが同139%、住設関連が同110%といずれも好調だ。

 エアコンは電気代高騰の背景から省エネ付加価値タイプの構成比が高まり、単価アップが図れている。エアコン構成比は梅クラスが65%、松竹クラスが35%。松竹クラスが前年から4ポイントアップした。テレビは値頃感が出てきた50インチ以上の大型機種が順調に売れており、40インチ前後の機種も動いている。洗濯機はドラム型機種の構成比が高まっており、現在の比率はドラム型35%、縦型65%。ドラム型の伸長率は156%と大きく伸びている。

 エコキュートは国の住宅省エネ2024キャンペーンを後押し材料に、好調さをキープしている。昨年よりも補助金の額が高いこともあり、関心が高まっている。リフォームも同キャンペーンを活用し、トイレや二重窓などの商品が活発に動いている。

 7月に入り、エアコンを中心に動きが活発化。エアコンは金額で前年比125%とこれまでの勢いを大きく上回る動きにつながっている。松竹梅構成比も維持できており、エアコンの繁忙期とは異なる流れになっているという。また、テレビは同110%、洗濯機は同100%、エコキュート同132%とこれまでの勢いをキープ。冷蔵庫は同95%となった。

 お盆以降も猛暑の影響が続いていると考え、エアコン商戦が続いていることを想定。8月中旬まで実施していたエアコンキャンペーンを継続する方針だ。9月に活用できる販促ツールなども用意。エアコン処分市なども開催する予定だ。

 また、毎年実施している防災関連のキャンペーンを今年も展開する予定。本部では店頭で販売できる防災グッズを用意。温めなくても食べることができるレトルトカレーなど備蓄できる食品や携帯トイレ、ブランケットなどの斡旋(あっせん)商品を扱う。顧客に配るほか、店の備蓄としても活用できるようにする。

 さらに、特殊詐欺に関する注意喚起も推進。啓蒙(けいもう)活動のほか、特殊詐欺の対策ツールなどを紹介、提案できるよう体制を整える。地域店の主要顧客である高齢者が被害に遭わないよう心掛ける。