2024.08.30 【ソリューションプロバイダー特集】各社の事業戦略 NSW・多田尚二社長
製造業でDX支援強化
生成AI活用向け取り組む
2023年度は計画を大きく上回り、売り上げ500億円を突破し12期連続の増収増益だった。24年度を最終とした中期経営計画で掲げた目標を1年前倒しで達成できた。各事業領域で濃淡はあるものの営業利益率も11.7%まで伸び、安定して収益を出せる体質になってきたと感じている。
当社はデバイスや組み込みシステム(エンベデッド)からSI(システム構築)、サービスまで全方位で支援できることを強みに、今中計ではDXファーストと共創に取り組んできている。DX関連の投資をはじめ、市場全体が拡大基調にある中、各事業で着実に案件の獲得に努めてきた成果が出ている。
産業別には製造や物流、小売、金融、公共ともにシステム刷新などの対応を着実にこなし、補助金関連事業などによる一過性の案件の反動減なども吸収できている。サービスはクラウドやAI(人工知能)・IoTなど、DX関連の引き合いが好調だが不採算案件の処理で収益に課題を残した。ただ不採算案件への対応はめどが付きつつあり今後は収益が拡大していくとみている。組み込みシステムは好調だ。自動運転技術の搭載が進む自動車向けのシステム開発関連の需要が旺盛で収益を伸ばせている。半導体などのデバイスは安定しているものの業界全体で投資に慎重な動きも出ている。2~3年後の開発案件は見えてきているが直近は弱含みなので慎重に見極めていきたい。
中計最終となる今年度は売り上げ520億円、営業利益60億円を目指す。中計目標の売り上げを前倒しで達成したことからさらに上積みできるようにしていく。同時に次期中計の計画も立てていきたい。5年10年先の姿を見据えた計画にしていくために議論を始めている。今年度はDX支援をさらに加速させる。DXの取り組みは15年から本格的に進めてきたが、今後は特に製造業に向けて展開を強化する。製造業では、新たなビジネスモデルの構築や既存工場の改革などの案件も増えている。これまでデロイトトーマツグループとスマートファクトリーの取り組みを進めてきたがコンサルティングのノウハウも積み上がってきたため製造DXをさらに推し進めていく。
生成AIの活用に向けた取り組みも加速する。全社横断のAIチームが中心になり開発工程での活用や業務効率化など社内利用も進める。昨年戦略投資したRealWear社のスマートグラスとAIを組み合わせた作業支援の仕組みを展開するなど外部への提案も始めた。
システム開発は標準システムに合わせる「フィット・ツー・スタンダード」に向かいつつあるため、引き合いに対しマネジメント力を発揮した対応をしていきたい。