2025.01.08 【製造技術総合特集】分析装置

分析機器はイノベーションを生み出す(写真は高速液体クロマトグラフ質量分析計)

先端的研究開発に必須

政府が支援するケースも

 分析機器は、物質の組成や性質、構造、状態などを定量的・定性的に測定する。多様な装置が開発されており、産業や医療などの研究開発で活用。機器を小型化し、操作性を簡易にするなどの工夫を施すことで、生産ラインなど活用シーンを拡大している。分析機器はイノベーションを生み出すために不可欠であり、世界的に政府が支援するケースは少なくない。

 半導体製造工程でもさまざまな分析機器が導入されている。ウエハーの洗浄や薬品の洗い流し、薬液の希釈や濃度調整で不純物を除去した純水が大量に使用される。純水の精度は半導体製品の品質に影響するため、使用する前に分析計で清浄度が評価される。

 液中微粒子計測器は、粒子にレーザー光を当てて生じる散乱光を検出。薬液や純水に混入した極微小な粒子を高精度で計数する。

 微細化の進行に伴い、より高水準で清浄度が求められるクリーンルームの清浄度管理は気中微粒子計測器が担う。空気をポンプで吸引してレーザー光線を当てることで粒子を一つずつ計測する。

 ウエハー表面の金属汚染の測定はX線分析装置などを使用。絶縁膜中に金属が混入すると絶縁破壊を招く恐れがあり、各種の分析機器が活用される。

 ウエハーの膜厚の精度も半導体の品質に大きく影響するもの。先端品では数ナノメートルレベルの超薄膜が要求され、X線分析装置を使って膜厚の精度が管理されている。

 EV(電気自動車)に搭載される車載用リチウムイオン電池(LIB)の評価にも分析機器が使用される。

 電子顕微鏡は数百~数百万倍の倍率で試料を拡大して観察できる。主要部材である正極材の評価には、電子線を試料に当てるSEM(走査電子顕微鏡)や薄く切った試料に電子線を透過させるTEM(透過電子顕微鏡)などを使用。粒子の大きさや結晶の方位からコバルトやニッケルなどの元素の分布を判別する。

 電池は充放電を繰り返すことで劣化していく。物質の化学状態の変化の把握や電池の品質管理にも分析機器が用いられている。

 分析機器メーカー各社は、分析や解析を効率化して作業時間の短縮に寄与するシステムを開発し、機器への対応を進めている。