2025.01.09 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2025年の経営戦略 エレクス 金子高一郎社長
金子 社長
設計、開発、製造を丸ごと支援
プリント基板実装からコンピューター機器の各種ケーブル加工、産業機器の組み立てまで、企画、設計、試作、量産に一貫して対応できることを強みに、企業が抱える製品設計や開発、生産の課題を解決してきた。この一年、金融や医療、宇宙など、高い品質が求められる領域からの受注が増えており、2025年も幅広い要望に応えていきたい。
78年の設立以来40年以上にわたり培ってきた技術力を生かした提案を進め、コロナ下の半導体不足や部材不足の局面を乗り越え順調に成長してきた。20年にカーAV用品や搬送機器の開発製造を手掛けるカインズ(東京都葛飾区)グループに入ってからもさまざまな改革に取り組み、グループ連携も着実に進んでいる。
当社は産業機器の生産や基板実装、電源関連装置の設計と量産の領域で、小ロットや短納期を求める要望に柔軟に応えるだけでなく、品質管理も含めて設計、開発、製造を丸ごと支援できる。〝手離れの良い〟受託生産が強みだ。この一年も金融関連や医療関連機器の基板実装を受注したほか、宇宙関連の受託もしている。大阪・関西万博に伴う案件受注も増えた。
24年から東京大学の竹谷純一教授のグループが開発した有機半導体単結晶の成膜技術を活用したフレキシブルディスプレーの量産に取り組んでいる。オルガノサーキット(千葉県柏市)と協業し、高山本社で量産に向けた試作を続け、昨年はAI(人工知能)を使った画像検査システムを独自開発した。
有機半導体ディスプレーの不良を画像検査で確認でき、生産品質を大幅に改善できる。今年は当社ラインで生産した製品を披露できるとみている。また、開発した画像検査の仕組みを他の領域に横展開できるようにしたい。
現在は品川技術センターと高山本社が連携し設計開発から量産まで一貫して支援しているが、カインズグループの生産拠点と約1万の協力会社との連携ができる「ものづくり総合センター(仮)」を設置した。新センターをハブに協力会社も含めた横断的なネットワークを使い、一社だけではできない製品開発を実現していく。センターを窓口に幅広い製品開発に対応したい。