2025.01.17 【情報通信総合特集】情報サービス トップに聞く 25年の見通し・経営戦略 Dynabook 覚道清文社長兼CEO
AI PCの本格機投入
製品、ソリューション両面 法人・文教市場で攻勢
2024年の国内ICT市場は、引き続き好調だった。Windows10のサポート終了に伴い、Windows11への買い替えが本格化しており、大手法人向け需要が活況に推移した。今後は、中小事業者の需要が拡大する。国内の24年度上期のノートPCの出荷台数は前年同期比17%増で推移、うちモバイルPCは同36%増と大きく伸びている。
25年の市場環境も好調が見込まれる。「GIGAスクール構想」が25年度から第2期に入るが、1000万台のPCの7割の700万台が25年度に更新される見通しだ。生成AI市場も本格化する。
当社の24年度業績は、上期の売り上げが2桁伸長で推移しており、過去最高業績となる見通しだ。ノートPCは、2期連続でトップシェア、また、顧客満足度調査でも高い評価を得ている。セルフ交換バッテリーを採用し、使い勝手を向上させたノートPC「X CHANGER」が好評だ。14型などラインアップも拡充している。
ソリューションの強化を図っている。PCの資産管理・運用業務を、PC導入から買い替えまで丸ごと請け負うLCM(ライフサイクルマネジメント)に力を入れている。昨年11月にはPC台帳管理システム「PCアセットモニタリングサービス」の機能をアップデートし、自動収集データ分析とお知らせ機能の提供を開始した。
また、12月に透過型XR(クロスリアリティー)グラス「dynaEdge XR1」を発表した。両眼透過型で、製造、物流、医療などの現場のDXを支援するとともに、PCとの組み合わせで、オフィスの効率化を実現する。
GIGAスクール構想向けでは、昨年12月から「Dynabook Chromebook C70」を投入している。クロームは、セキュリティーに強く、学校現場ではシェアも高い。新製品は、教育現場で望まれる堅ろう性と使いやすさを備えている。
「dynabook」は、世界初のノートPCとして誕生し、35周年を迎えている。昨年は、8月に東京・秋葉原で、11月に大阪・梅田で35周年イベント「ダイナブック大作戦」を開催し、好評だった。今年もイベントや広告展開などで盛り上げを図っていく。
25年のICT市場は、法人市場、文教市場とも活況が見込まれる。製品、ソリューションの両面で攻勢をかける。製品では、AI PCの本格機を投入する。また、LCMなどのソリューションも、AIと連動し、一段とサービスの向上を図っていく。
当社は「コンピューティングとサービスを通じて世界を変える」という企業ビジョンを掲げている。成長、変革を加速させる年にしたい。