2025.01.17 【情報通信総合特集】情報サービス トップに聞く 25年の見通し・経営戦略 アイコム 中岡洋詞社長

〝100年企業〟へ向けて土台づくり

強固な経営基盤を築く

 2024年度上半期の連結売り上げは、当社の最高売上高(371億円)となった前年同期の結果とほぼ同水準(前年同期比1.1%の微減)の178億9800万円だった。営業利益は前年同期比0.4%増の16億700万円、経常利益は同40.8%減の14億6600万円、親会社株主に帰属する中間純利益は同42.4%減の10億5000万円となっている。

 設立60周年となった昨年は、節目にふさわしい年となった。各種の記念イベントを通して、子会社も含めた世界中の社員同士や取引先様との結び付きをさらに強化することができた。これを通過点として、今年は「100年企業」に向けた土台づくりをしっかり行っていきたい。

 来期は「中期経営計画2026」の最終期となるが、いくつかの目標は既に達成できている。一つは、2社目となるM&Aで、ODA案件をはじめとする中・大規模の無線通信システム・ネットワークの構築、設置を行うコムフォースを完全子会社化した。また、売り上げを下支えするIPトランシーバーの回線収入などのストックビジネスの売り上げも、目標としていた8%(30億円)を既に超えている。

 社会的責任を果たし、ステークホルダーの信頼を得ることが、当社の企業価値の向上につながる。そのための取り組みとして、上場企業への社会的要請に順次対応している。

 気候変動財務開示に関連するTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures=気候関連財務情報開示タスクフォース)やCDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)への対応は2年目を迎えた。また、サステナビリティー経営の方針を紹介する専用ページを当社Webサイトに設けたほか、資本コストを意識した経営の取り組み、英文でのIR資料の開示も始めた。

 ほかにも、人的資本経営への取り組みとして、社会課題を解決し、新たな事業を創出することの研究と育成を目的とする通学制の社会人向けの大学院「事業構想大学院大学」で学ぶ機会を11人の社員に提供。リスキリングを行っている。中期的な新規ビジネスの創出につながることを期待している。

 為替相場や国際情勢などを含め、ビジネス環境は前期以上に目まぐるしい変化の中にあるが、過去最高の売り上げを目指すことに変わりはない。裏方・表方を問わず、強力なチームプレーが必要となる。全ての関連会社、全部門の結束に期待している。そして、全てのステークホルダーが成長の可能性を感じられるような、さらに強固な経営基盤を築く年となるよう取り組みたい。