2025.01.27 タイ、2024年の投資申請額が過去最高 デジタル産業けん引

2024年投資申請額

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ナリット・テートサティーラサック長官ナリット・テートサティーラサック長官

 タイ投資委員会(タイBOI)はこのほど2024年の企業による投資申請額が前年比35%増の1兆1385億バーツ(約5兆2400億円)となり、14年以降最高額になったと発表した。このうち外国からの直接投資額(FDI)はDX化などが貢献して25%増の8321億バーツ、データセンター(DC)関連の投資が目立ったという。

データセンターなどのデジタル投資がけん引

 24年の投資申請額のうち、分野別ではDCやクラウドサービスなどデジタル産業分野が金額で最多だった。150件の申請があり、金額は合計2433億バーツ。米国のグーグル、オーストラリアのネクストDC、インドのCtrlSデータセンターズ、シンガポールのGDS IDCサービスなどがデジタル産業分野の主な投資企業。

電子・家電分野は半導体関連の投資が大きく寄与

 電子・家電分野は407件のプロジェクト、金額で第2位となる2317億バーツ。台湾の半導体製造装置メーカーFitiグループの投資が寄与した。また、タイのEMS大手、ハナ・マイクロエレクトロニクスとエネルギー会社PTTグループ両社の合弁企業FT1が115億バーツを投資してタイ初のSiCウエハー生産工場設立計画も特筆される。自動車・自動車用部品産業は第3位。309件の申請と1024億バーツの投資額。以下、農業・食品加工329件、876億バーツ、石油化学235件、491億バーツと続く。

 タイ政府は昨年12月「半導体ボード」と呼ばれる新しい半導体産業振興組織を設立、半導体産業関連の誘致を積極的に推進することになった。29年までに5000億バーツ規模の半導体関連誘致を見込んでいる。BOIのナリット・テートサティーラサック長官は半導体以外にもクリーンエネルギー、電気自動車(EV)と部品関連、農業、メディカル、観光インフラなどが投資で有望、と語った。

海外からの直接投資額は73%を占める

 24年の外国からの直接投資額(FDI)8321億バーツは24年の全投資額の73%を占めた。国別ではシンガポール、中国、香港、台湾、日本が金額の上位5カ国。シンガポールはデジタルサービスと電子機器製造などの投資が多く、中国や米国が本社の企業による投資が目立つという。

 中国はプリント基板、自動車、金属メーカーが進出を決めている。香港からの投資はウエハー製造、半導体用基幹材料、DC、プリント基板、化学・プラスチック製造など。日本からは271件、491億バーツの投資。自動車、自動車用部品、二輪車、航空機用タイヤ、デジカメ、エアコンなどが多かった。