2025.01.31 呼吸を意識していますか? 「シンコキュウ」取り入れ状態を整える

シンコキュウを手に持つ三好さん

 2023年に設立したシンコキュウ(東京都渋谷区)は、無理なく呼吸を促す卓上型呼吸デバイス「シンコキュウ」を開発中で、25年中に量産化を目指している。

 まるで白い大きなマカロンのような手のひらサイズのシンコキュウは、本体上部が上下にゆっくりと動く。専用アプリを使えば、集中やリラックスなどなりたい状態に合わせて呼吸の動きを変えられる。タイマー設定で自動的に動かすこともできる。

 シンコキュウの発案者で創業者の三好賢聖さんは「一番の強みは、ほったらかしで良いこと」と話す。高齢者や子どもなどアプリによる操作を苦手としがちな人でも使いやすいように、タイマー設定やモード変更といった最低限の使用シーンに抑えている。

 他社製品でウェアラブルデバイスに呼吸を促す通知機能を持つものもあるが、通知を無視することもできてしまう。「通知にまみれてしまって行動変容につながらない」(三好さん)。

 体に密着させて振動で呼吸を促すものもあるが、自分の呼吸とタイミングが合わなかったときの違和感が大きい上、密着させているからこそ感覚と切り離しにくい。目で見た動きを呼吸につなげるシンコキュウは、ユーザー自身が見ないようにすれば意識せずに距離感を調整できる。

 ターゲットは、椅子に座って長時間パソコン作業をするオフィスワーカーを中心に据える。他にも健康に不安を抱える高齢者や、教育関係者、子どもなどを想定する。

 三好さんは本を執筆している際、集中し過ぎて呼吸を忘れてしまうことがあるという。その状況を解決するためにシンコキュウを考案。三好さんはシンコキュウを「時計みたいに空間の一部になる存在」と例える。

 現在、企業向けにベータ版のレンタル販売をしている。今後は、シンコキュウの量産化とともに、呼吸をモノづくりに取り入れる事業の加速を目指す。動きをデザインする研究に取り組む三好さんは、自身の研究分野を生かして「呼吸のアドバイスだけでなく、モノづくりまでできる」と語る。

 例えば、自動車に呼吸を組み合わせることで、集中力の維持や渋滞時のイライラとした気分の抑制を目指す。