2025.02.13 電車内殺菌に深紫外線LED NICTと旭化成が高出力モジュール開発
車両に搭載して試験運転した
情報通信研究機構(NICT)は旭化成と共同で、高出力な深紫外線LEDを搭載した鉄道車両用空気殺菌モジュールを開発した。水銀ランプを使用した従来モジュールに比べ電力や殺菌にかかる時間を40%以上削減。環境負荷や消費電力を低減し、空気中のウイルスを介したエアロゾル感染のリスクを下げる殺菌技術として期待される。
深紫外線LEDは、200~300ナノメートルの波長帯の光を発する半導体発光ダイオードで、照射することでウイルスや細菌を殺菌・不活性化することができる。今回開発したモジュールには、殺菌効率の最も高い発光ピーク波長265ナノメートル帯の深紫外線LEDを搭載。空気を吸引し、モジュール内で深紫外線を照射してウイルスや細菌を不活性化後、清浄な空気を排出する。
外部機関による水銀ランプを使用した従来モジュールとの比較では、空気中を浮遊するウイルスの不活性化に必要な電力は40.7%削減できた。500ミリW出力の深紫外線LEDを複数個搭載した同型モジュールを使った実験でも、水銀ランプに比べて不活性化する時間を43.6 %短縮できることを検証している。
電力比較に使用したモジュールを搭載した静岡鉄道の運行車両で1カ月間の試験運転を実施。従来の水銀ランプに対し小型・軽量な特徴を生かし、車両連結部の上部に設置し、安定・安全に動作することが確認された。
NICTと旭化成は、公共機関や医療施設など空気感染リスクの高い環境で開発した空気殺菌モジュールの採用を目指し、関連企業との連携を含めた取り組みを推進する予定。