2025.02.18 電機大手4~12月期決算、ソニーGと三菱が過去最高 通期も上方修正目立つ

電機大手の2024年4~12月期決算

 電機大手の2025年3月期第3四半期(24年4~12月)決算は、事業ポートフォリオ改革や構造改革を成果につなげ、各社が中核事業の収益を拡大した。ソニーグループは営業利益、三菱電機は売り上げ、営業利益で過去最高を更新。日立製作所も注力事業で収益を大幅に伸ばした。市場の不透明感が残る中、ソニー、日立、シャープ、NEC、富士通が通期売り上げや利益見通しを上方修正している。

 各社は非継続事業の売却を進め、利益改善を加速。特にソニー、三菱、日立が好調を維持し、シャープや東芝も構造改革の成果で大幅な利益増となった。

 ソニーGはゲーム・音楽などエンターテインメント領域の成長に加え、イメージセンサーの歩留まり向上などで収益を拡大した。

 日立はデジタル、エネルギー・鉄道、社会インフラの3セクターで収益を伸ばし、注力するデジタル事業「ルマーダ」がけん引。加藤知巳執行役専務CFO(最高財務責任者)は「国内ITでDX(デジタルトランスフォーメーション)とモダナイゼーション(IT近代化)の案件がよい」とみる。

 三菱は、FAシステムや中国での自動車機器が低迷した一方、インフラ関連や防衛・宇宙分野の成長などがけん引。

 パナソニックホールディングス(HD)は、自動車関連子会社の売却影響があったものの、継続事業は増収増益。苦戦が続いていたA2W(エアトゥウォーター、ヒートポンプ式温水給湯暖房機)も流通在庫の改善で回復した。

 シャープは、デバイス事業の減収を家電やオフィス、スマート端末などのブランド事業の増収で補い、営業利益を拡大。ディスプレー事業の赤字も縮小した。

 東芝は半導体が減収だったが、発電システムや送変電・配電、公共インフラなどが成長。限界利益率と固定費比率の改善といった経営改革を成果につなげ、4~12月で黒字化を達成した。池谷光司副社長は「損益は全て黒字となり、4~12月累計で過去最高益を達成した」とした。

 富士通はデジタル関連のサービス事業が成長し、調整後営業利益を拡大。NECも国内外のITサービスが伸び、自治体や製造業向け案件が堅調に推移した。

 通期見通しでは、ソニーGが売り上げ、営業利益、最終利益を上方修正し、過去最高を更新する見通し。日立も中計最終年として計画を達成する見込み。NECはITサービスの好調を受けて通期売り上げ、調整後営業利益を上方修正した。

 一方、三菱は、宇宙・防衛、半導体などは堅調なものの、増田邦昭常務執行役CFOは「FAシステムの中大型コントローラーやサーボは低調が続く見通し」としている。パナソニックHDは自動車部門非連結化の影響で売り上げを下方修正したが、利益は据え置いた。