2025.03.27 半導体強国へ前進 マレーシア、IC設計でASEANの中核に

マレーシア半導体ICデザインパーク開設時の様子(出所:SIDEC)

アームとの協業発表にはアンワル・イブラヒム首相(右から4人目)も参加した(出所:SIDEC)アームとの協業発表にはアンワル・イブラヒム首相(右から4人目)も参加した(出所:SIDEC)

マレーシア半導体産業の中心地・セランゴール州が成長をけん引していると話すヨンCEOマレーシア半導体産業の中心地・セランゴール州が成長をけん引していると話すヨンCEO

 半導体産業を強化しているマレーシア政府が、設計・開発分野へのシフトを加速させている。従来の「メイド・イン・マレーシア」から「メイド・バイ・マレーシア」への転換を掲げ、先端分野への投資を強化。セランゴール州が最前線に立ち、ASEANにおける半導体の中核拠点になることを目指している。

 デジタル投資や技術支援などを行う「SIDEC」のヨン・カイ・ピンCEO(最高経営責任者)によると、セランゴール州はマレーシア国内で経済への貢献度が最大で、GDPの約25.9%を占める。クアラルンプール国際空港(KLIA)とクラン港という2つの国際拠点を抱え、東南アジア諸国との連携も強みだ。

 成長分野は多岐にわたる。電気自動車(EV)やADAS(先進運転支援システム)などを中心とした自動車や、2030年までに5GW規模へと拡大が見込まれるデータセンター、航空宇宙エンジニアリングでも成長が期待されている。

 鍵となるのは半導体だ。マレーシア政府は昨年、東南アジア初となる「マレーシア半導体ICデザインパーク」を設立。これまで主に担っていた後工程から、付加価値の高い前工程への転換を狙う。パークは4万5000平方フィートで始動し、需要に応じて6万平方フィートまで拡張する予定だ。

 ソフトバンクグループ傘下の英アームとも業務提携。アームの知的財産(IP)を活用できるよう、10年間で2億5000万ドルを投資する。これにより、新興企業25社、サブシステム7つがアームのIPライブラリーを活用し、10社程度の半導体企業創出を目指している。

 ヨンCEOは「セランゴール州は今後数年間、マレーシアのGDP貢献で他の州をリードし続ける。次のステップは量ではなく質になる」と意欲を示した。

<執筆・構成=半導体ナビ