2025.04.17 フィルム型太陽電池で再エネ拡大へ、体育館屋根で実証開始 積水化学

アーチ型屋根への設置

ペロブスカイト太陽電池の市場規模の予測(出所:積水化学工業)ペロブスカイト太陽電池の市場規模の予測(出所:積水化学工業)

 積水化学工業と子会社の積水ソーラーフィルム(SSF、大阪市北区)は、軽量で柔軟性のある「フィルム型ペロブスカイト太陽電池」の実用化に向け、香川県と連携して実証実験を開始した。香川県立観音寺第一高等学校の体育館屋根に設置。2025年3月末まで1年間実証を行う。

 今回の実証では、体育館の南面アーチ型屋根に約10平方メートルのペロブスカイト太陽電池を設置し、施工方法や耐久性、発電性能を検証する。4月1日から開始した。体育館は災害時の避難所としての役割も担うことから、非常時の電力確保にも貢献する取り組みとして注目される。

 日本では平地が少なく、従来のシリコン系太陽電池の設置には制約がある。一方、フィルム型は軽く曲面にも対応できるため、既存の屋根などへの適用が進めば再生可能エネルギー導入の拡大が期待される。

 SSFは、積水化学と日本政策投資銀行の出資により25年1月に設立された新会社で、ペロブスカイト太陽電池の開発・製造・販売を行う。積水化学は、長期ビジョン「Vision2030」でこの太陽電池を成長分野に位置づけ、26年3月期から既存設備で商業生産を開始する予定だ。

 今後はシャープ堺工場跡地を活用して生産能力を拡大し、27年度に売上高250億円以上、30年度には最大2000億円規模への成長を目指している。