2025.06.20 iPS細胞生産拠点が開所 ファストリ・柳井氏「量産に期待」

会見する山中理事長(左)と柳井会長兼社長

「Yanai my iPS製作所」の内部「Yanai my iPS製作所」の内部

 京都大学iPS細胞研究財団(iPS財団)の製造拠点「Yanai my iPS製作所」(Y‐FiT)の開所式が20日、大阪市中之島で行われ、寄付したファーストリテイリングの柳井正会長兼社長のほか、iPS財団の山中伸弥理事長らが出席した。

 iPS財団は、2020年4月に公益財団法人として発足。iPS細胞の製造と産業界の橋渡しを主な任務にしている。Y‐FiTの設立資金として柳井氏個人が、21年度から年5億円を9年間、計45億円を寄付することが決まっている。

 Y‐FiTは今年3月、再生医療拠点「中之島クロス」内部に竣工、5月29日に臨床用iPS細胞の製造施設として厚生労働省近畿厚生局長より許可を取得、生産を開始した。

 現在の製造施設スペースは1200平方メートルで、総工費は約15.1億円。ドイツ製の自動製造装置14台を2~4人で管理している。

 iPS細胞を28年度には年間1000個製造することを目指す。費用は1個あたり100万円、期間も3週間を目標にする。現在では1個あたり5000万円、期間も半年要しているという。  

 会見でiPS財団の山中理事長は「最適なiPS細胞を良心的な価格で届けたい。世界への売り込みも図りたい」と語り、柳井氏は「iPS細胞の量産に期待したい」と語った。