2025.07.11 【電子部品技術総合特集】オータックス 中谷邦夫執行役員テクニカル担当兼テクニカルグループ長
中谷 執行役員
作りやすさと検査のしやすさ
両立する開発体制構築
オータックスは、スイッチ開発では、DIPスイッチ、操作スイッチを中心に既存製品のリニューアルとシリーズ拡充に継続的に取り組んでいる。原材料高騰に対し、材料標準化や金めっきエリアの最適設計を通じ、製品コストの維持・低減を推進。さらなる省人化を見据えた自動化ライン導入も積極推進し、生産性と品質の両立を目指している。
中谷邦夫執行役員テクニカル担当兼テクニカルグループ長は「機構部品開発では、設計段階から金型設計、部品加工部門を巻き込んだDFM(デザイン・フォー・マニュファクチャリング)レビューを徹底し、『作りやすさ』と『検査のしやすさ』を両立する製品開発体制を構築している」と話す。
医療機器事業では、ISO 13485:2016認証、製造販売業許可、製造業登録などの体制を整備し、通信機能付きパルスオキシメーターや超音波画像診断装置の開発を進めている。
同社は中国・深圳工場を開発・生産技術の中核拠点と位置付け、金型製作から部品加工、自動組み立てまで一貫体制を確立。タイ、マレーシアの工場でも現地ニーズに即応する製品の立ち上げを進め、深圳の技術者が海外拠点の生産技術支援を行う体制が定着している。「グローバルでの技術連携を強化し、開発スピードと市場対応力の向上を図っている」(中谷執行役員)。
アライアンス/コラボレーションにも積極的に取り組む。レーザー加工、超音波バリ取り、自動はんだ付けなどの先端製造技術導入に向け外部パートナーとの連携を推進。加えて昨年事業承継したSHIBA(旧佐鳥電機エステック事業本部)との協業により大電流対応電源スイッチ開発に着手し、技術資産融合による新たな製品価値創出を進めている。
開発現場ではリーダー層を中心に生成AIの活用が進展。過去の設計・不具合データの分析による開発レビューの効率化、技術文書の初稿作成、特許情報のリサーチなどに取り入れている。今後はより高度な自動化・知能化へと拡大する。