2025.07.11 【電子部品技術総合特集】イリソ電子工業 三塚茂執行役員技術本部長兼技術部長

三塚 執行役員

便利・安心・安全に貢献

モビリティーなど3市場に力

 イリソ電子工業は、総合コネクターメーカーとして①モビリティー②インダストリアル③コンシューマーの3市場向けに積極的な新製品開発を進めており、社会課題の解決に貢献するR&Dに努めている。

 三塚茂執行役員技術本部長は「開発ポリシーは、人々の生活における、便利、安全、安心に貢献できる開発を行うこと」と話す。

 「モビリティー市場向けは統合ECU用基板対基板コネクター開発を強化する。量産中の16ギガbps対応製品に加え、32ギガbps対応フローティング基板対基板コネクターにもめどが付き、2026年度の量産開始を予定している。インダストリアル市場向けは半導体製造装置やロボット向けにフォーカスする」と述べる。

 ロボット向けでは、ヒューマノイドロボットの心臓部に、同社がモビリティー市場向けに開発した16ギガbps対応高速基板対基板コネクターが採用されたことから、「今後は横展開を進める」(三塚執行役員)。

 半導体製造装置向けは、従来はモビリティー製品の水平展開が主体だったが、新たに半導体製造装置向けコネクター開発のための部門横断型プロジェクトを開設した。「半導体製造装置でのニーズをディスカッションし、必要な製品をオリジナルで開発する活動をする」(三塚執行役員)とし、今期中に試作開発から顧客評価につなげる方針だ。

 モビリティー向けは、「高速伝送、高電流、高電圧、自動組み立て対応などをキーワードに開発に努める」(三塚執行役員)。

 開発体制は、日本の技術本部を中核に、中国・上海にもR&Dセンターを開設。特に24年以降、中国開発体制を強化した。「従来は上海では既存製品のモディファイやインターフェース系製品の開発が主体だったが、方針を変更し、中国系顧客向けの新製品を上海R&Dセンターがコンセプトを決めて現地開発する取り組みを強化している」(三塚執行役員)。第1弾製品として、カメラ用の低背基板対基板コネクターを開発し、今年度中の量産開始を予定する。

 アライアンス関連では、先頃、ケルとの車載用同軸コネクター共同開発に関する発表を行った。産学連携では、EMC対策技術の高度化のため、名古屋工業大学との共同研究を24年後半にスタート。このほか、高電流対応製品開発のための新たな産学連携の実施も計画している。

 研究開発でのAI活用では特に技術管理系業務への活用に力を入れている。その一環として、既存部品の図面検索にビジュアル検索機能を導入した。