2025.07.11 【電子部品技術総合特集】SMK 池尾政信代表取締役副社長CTO技術本部担当
池尾 副社長
コア技術を深耕・新耕
AI活用、シミュレーション高度化
SMKは、「Creative Connectivity」をビジョンに、社会や顧客の課題に対するソリューション提案・付加価値提案のための研究や開発を継続的に推進。池尾政信代表取締役副社長CTO 技術本部担当は「デジタル化・IoT化で社会の利便性がますます高まっており、ユーザビリティーや耐環境性能など、顧客の新たなセットの価値創出への貢献を目指している」と説明する。
イノベーションセンターでは、独自性のある高付加価値技術で社会課題へのソリューション提案となる先進的な開発を行い、各事業部門では電子情報産業分野での技術・商品開発を推進しコアテクノロジーの深耕と新耕に注力。
生産技術センターは各事業部・事業所と連携し、製造現場での自動化の向上とIT技術の導入による無人化・生産性向上を進めており、社内での自動化・省力化設備の開発と製作、稼働データ収集システムを活用した設備予兆保全にも取り組む。技術管理部では開発ツール・ソフトの高度化やシミュレーション技術の向上、知的財産保護とその活用を進めている。
開発体制は国内3拠点のほか、米国、メキシコ、中国、シンガポールとグローバルな拠点展開を行い、「本社をセンター機能として各拠点間で双方向の連携を図っている」(池尾副社長)。
各開発拠点は、その地域でのワンストップソリューション(営業・設計・生産の一貫体制)での設計機能を果たすとともに、新技術の共有や設計工数・習熟度などの不足は補完し合いながら開発を進めている。
アライアンス/コラボレーションにも積極的に取り組み、規格団体・協議会など約20のコンソーシアムに加入。オープンイノベーションでは、海外企業や国内の専門研究機関などと業務提携し、スタートアップ技術と自社保有技術を融合することで、社会課題解決や車載・ヘルスケア用途での新しいソリューションビジネス創出を進めている。
具体例としては、スタートアップ企業と協業し、非接触型の子ども置き去り検知センサーの量産化を目指しているほか、日本語音声によるあたまの健康度を可視化するアルゴリズム開発も完了した。
開発業務でのAI活用では、シミュレーション技術の活用強化と解析スピードアップを図るとともに、機構強度・音響・材料配向・流体・加工成形を組み合わせた連成シミュレーションやAIを活用した最適化の導入でシミュレーション技能の高度化を図り、設計力強化・設計品質向上への環境整備に取り組んでいる。