2025.09.04 8割が財務目標達成を懸念 世界の混迷映す支出管理大手Coupaの調査
先行きが見通せない市場環境の中多くの財務担当者は不安を覚えている(出所:Coupa)
日本企業の最高財務責任者(CFO)の85%が財務目標の達成に懸念を抱いている――。支出管理を支援するプラットフォームを手がけるCoupa(クーパ、東京都港区)が日本CFO協会と共同で行った調査で、そんな傾向が明らかになった。財務・調達業務へのAI(人工知能)の導入が欧米に比べて遅れている実態も浮き彫りになり、デジタル改革を促す課題を企業に突きつけた。
今回の調査は、日本企業のCFOや経理・財務幹部を対象に6~7月に実施した「日本CFO戦略調査:2025年」で、358人から回答を得た。
CFOがビジネスへの最大の脅威と捉える外部環境について尋ねると、「物価上昇・コスト高騰」が最も多く、66%を占めた。これに「労働力不足・技能人材不足」(46%)が続いた。この人的課題を脅威と感じる回答は欧米を対象としたCFO戦略調査には無く、日本固有の傾向だ。
企業価値の最大化のために優先的に着手する施策については、「戦略的な投資配分による資本効率の向上」と「グローバル市場展開・新規市場開拓による売上成長の加速」がともに同率1位の53%だった。続いて、「支出管理とコスト構造の最適化」(50%)が多かった。
財務戦略での支出管理の位置付けを見ると、「コスト管理・削減を目的とした管理対象」(71%)が最も多かった。
遅れ目立つAI導入
財務・調達プロセスへのAIの導入状況については、「AIを財務・調達業務全体に戦略的に統合している」と答えた企業が2%にとどまり、26%と本格的なAI導入が進む欧米との間に大きな開きがあった。日本企業の回答は「AIは未導入だが、Excelなどの従来ツールからの脱却を検討中・調査段階にある」が最多となり、39%に達した。
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東京都内で2日に開かれた会見で同社の反町浩一郎社長は、混迷を極める世界情勢を概観した上で、「外部環境の不確実性が高まる中で企業を存続し利益を確保するためには、支出管理を高度化する取り組みが不可欠だ」と力説した。
同社が提供するのは、企業活動にかかわる多様な支出を統合管理するプラットフォーム。反町氏はプラットフォームの展開を通じて、「売り手と買い手が密接につながる世界」を実現することにも意欲を示した。
さらに反町氏は、支出管理の高度化が「新たなデジタルトランスフォーメーション(DX)の一手になる」とも強調。AIを活用した支出管理にも触れ、直近3年間で40を超える新機能を提供する方針を示した。