2025.10.01 エージェント型AI普及でリスク拡大 F5、APIセキュリティー調査発表
説明するF5ジャパンの丸瀬明彦CTO
サイバーセキュリティー大手、米F5の日本法人F5ネットワークスジャパンは、AI(人工知能)の導入拡大によるAPIへの影響などを検証するため、日本を含むアジア太平洋地域(APAC)の企業・組織を対象に実施したセキュリティー調査を発表した。
APIは、異なるソフトウエア同士をつなぐ仕組みで、データのやり取りを可能にする。調査は、日本や中国、インドなど10の国・地域で行われ、セキュリティーやシステム開発・運用などに関わる専門家1000人から回答を得た。
結果によると、APACの企業・組織の8割以上がAPIを活用し、AIや機械学習モデルを導入。人間を超える速度で自律的にタスクを実行するエージェント型AI(自ら判断して行動するAI)の普及により、APIは単なるデータ接続の役割を超えて重要性を増しているという。
一方で、セキュリティー対策が不十分な場合、権限の整合やガバナンス(管理体制)の不備から想定外のアクションを引き起こすリスクも浮かび上がった。日本では企業・組織の5割以上(APAC全体では63%)がAPIセキュリティーを「非常に重要」と認識しているが、ツールやプロセス、スキルの面で十分に対応できている割合は21〜32%にとどまり、専任部門を持つ企業は15%どまり。認識と実態の間には大きなギャップがみられた。
APAC全体でも、42%の組織が十分なAPIガバナンスを行っていると回答した一方、専任チームを持つ組織は22%にとどまった。報告書は「一貫性のない対策は監視漏れを招き、業務やコンプライアンス(法令順守)上の重大リスクにつながりかねない」と警鐘を鳴らしている。
F5ジャパンの丸瀬明彦CTO(最高技術責任者)は「特に日本を含むいくつかの市場では、金融、製造、政府分野でのAI導入の急速な進展が、初期段階で制定された規制ガイダンスの不適合を生じさせている。エージェント型AI成功のカギは、APIセキュリティーと組織の備え、リーダーシップにある」と強調した。