2025.10.02 レゾナックと米宇宙企業 「宇宙で作る半導体材料」の連携に合意
アクシオム・スペースの宇宙飛行士兼CTOの若田光一氏(左)とレゾナックの福島氏(右)
レゾナックは1日、米民間宇宙企業のアクシオム・スペースとMOU(基本合意書)を結び、宇宙での半導体材料の製造に関する研究を行うと発表した。重力が小さい環境では、パワーデバイス材料のSiC(炭化ケイ素)などについて、欠陥の少ないものの実現が期待される。両社が6月に発表していた、宇宙放射線による半導体デバイスの誤動作を防ぐ封止材に関するプロジェクトも拡大するという。
実証は、国際宇宙ステーション(ISS)やアクシオム・スペースの軌道プラットフォームのほか、設計が計画されているアクシオム・ステーションを活用して行う。重力が小さい環境では、対流や沈殿が発生しないため、均質な材料の製造ができる。レゾナックが手掛けるSiC結晶やパッケージで使う樹脂などの品質向上が期待される。商業規模での製造にも段階的につなげていく予定だ。
両社は6月に、宇宙で使用する半導体用の材料についても連携していた。宇宙放射線により、ビットが反転することを防ぐレゾナックの封止材料は、宇宙放射線によって生成される中性子を吸収する素材を配合する。その評価実験をアクシオム・スペースに委託していた。今回の合意により、この連携も加速する。
レゾナックの福島正人CTO(最高技術責任者)は「宇宙という極限環境の活用により、半導体材料は結晶成長などの領域で飛躍的な進化を遂げる可能性がある」とコメントした。