2025.10.03 IoTで工場の「暑さ指数」監視、熱中症予防、菱洋エレクトロが豊田自動織機に

温湿度センサー「LAS-603V2」

LoRaWAN対応ゲートウェイLoRaWAN対応ゲートウェイ

 エレクトロニクス商社の菱洋エレクトロは熱中症を予防するため、暑さの厳しさを示す指標「湿球黒球温度(WBGT、暑さ指数)」を監視し注意喚起を行うIoT(モノのインターネット)システムを豊田自動織機に導入した。厚生労働省が義務付けた熱中症対策に対応する。台湾kiwi technologyが開発した暑熱環境向けWBGT監視システムを採用した。

 WGBTは人体と外気との熱のやりとり、熱収支に着目し、影響の大きい湿度、日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境、気温の3つを取り入れた指標。

 夏に気温の高い日が続き、職場でも熱中症の重症化や死亡災害の発生件数が増加傾向にあり、原因として初期症状への気付きや対応の遅れが挙げられる。厚労省は6月に労働安全衛生規則を改正し、WGBTが28℃以上、気温31℃以上で連続1時間以上、または1日4時間を超えて作業を実施する環境について、熱中症防止対策を事業者に義務付けた。

 自動車生産を担う豊田自動織機の長草工場(愛知県大府市)は、工場内の各作業場でWBGTをリアルタイム計測して可視化し、複数工場の情報を一元管理できるシステムとして今回kiwi製品を採用した。

 5年交換が不要なリチウムバッテリーで駆動し、低消費電力広域(LPWA)無線通信の一種LoRaWANに対応した温湿度センサー「LAS-603V2」と、それをインターネットに接続するゲートウェイとクラウド上のサーバーで構成。WBGTの値を示すインジケーターともLoRaWANで接続する。

 温度、湿度、WBGTを測定して注意喚起し、熱中症の発生リスクに対し現場が早期に対策を促すほか、蓄積データと計測値をその日の作業スケジュール調整や休憩時間の設定に生かし、熱中症の発生リスク低減に役立てられる。複数工場のデータを一元管理して全体の傾向や対策を確立し、全工場で一貫した安全な作業環境を築けるという。

 ただ、熱中症の発症を直接的に予防・診断したり治療したりすることを目的とした医療機器ではない。導入先の要望に合わせて、各種の可視化ソフトウエアを菱洋エレクトロがカスタマイズ。導入後も、運用データをもとに機能向上とカスタマイズを支援する。