2025.10.15 ABBとエヌビディアが協業 GW規模のAIデータセンター実現へ開発加速

拡大する世界のデータセンター需要(写真はイメージ)

協業するABB とNVIDIAのロゴ協業するABB とNVIDIAのロゴ

 スイスの産業機器大手ABBと米半導体大手NVIDIA(エヌビディア)は13日、GW(ギガワット)級の次世代AI(人工知能)データセンターの開発の加速に向けて協業すると発表した。エヌビディアが27年から導入を計画している1MW(メガワット)級サーバーラック用の800V高電圧直流(HVDC)電力供給システムの開発をABBが支援する。

 将来のAI利用の拡大に向け、高効率で拡張可能な電力供給を実現にするには、新しい高度な配電技術とアーキテクチャーが必要。そこでABBは最先端の直流技術と配電技術を持ち寄り、エヌビディアの800VDCシステムの開発を支援する。

 AIなどの登場により、大容量の電力が不可欠になっている。そこで両社は効率の良い配電が不可欠との考えから、将来のデータセンターの電源アーキテクチャーとして中電圧(MV)無停電電源装置(UPS)と直流配電を組み合わせ、半導体パワー電子機器を用いたサーバールームに統合させていく。

 AI需要が世界中で高まる中、「データセンターには効率性を高め、設計を簡素化した新たな配電システムのアプローチが必要」と、エヌビディアのHPC・クラウド・AIインフラ担当シニアディレクター、ディオン・ハリソン氏はコメントする。

 ABBの電気部門ジャンピエロ・フリジオ社長は「当社は、DC向けシステムとして世界初の半導体UPS『HiPerGuard』を開発、AI DCがより小さな設置面積で、電力密度とエネルギー効率の向上に寄与している」という。また同社の半導体遮断器「SACE  Infinitus」は、直流配電を実現するために必要な速度と制御性を持つよう設計されている。

 米国の調査会社デルオロ・グループによると、世界のDC需要は24年の80GWから30年には約220GWと予測。この伸びの70%はAI関連とみられている。