2025.10.21 東芝デジタルソリューションズ、量子技術を活用したIT創薬事業で協業

(左から)アヘッド・バイオコンピューティング取締役CTOの秋山泰氏、東芝デジタルソリューションズ取締役常務の月野氏

 東芝デジタルソリューションズと東京科学大学認定ベンチャーのアヘッド・バイオコンピューティング(川崎市川崎区)は21日、IT創薬分野での協業を目的に戦略的な提携契約を締結したと発表した。薬剤候補の探索技術の高度化や創薬プロセスの効率化を促し、製薬企業などによる新薬の開発を技術面で後押しする。

 今回の契約に基づき両社は、アヘッド・バイオコンピューティングのバイオインフォマティクス(生命情報工学)やIT創薬に関する専門技術に、東芝デジタルソリューションズが持つ量子インスパイアード最適化ソリューション「SQBM+」を活用し、創薬に関するエコシステム(生態系)の形成に貢献する。

 両社は、2021年に行われたオープンイノベーションプログラム「Toshiba OPEN INNOVATION PROGRAM」を通じて事業の共創に取り組んで以降、さまざまな共同プロジェクトを実施してきた。

 今回の協業では、量子技術を応用できるIT創薬人材の育成や拡充にも取り組み、創薬分野の振興に寄与したい考えだ。東芝デジタルソリューションズ取締役常務の月野浩氏はコメントの中で、両社の技術を融合して「創薬エコシステムの発展とIT創薬分野の革新を目指す」と述べた。

 社会や産業が抱える課題の多くは、膨大な選択肢から最適なものを選び出す組み合わせ最適化に帰着する。組み合わせ最適化は、問題の規模が大きくなるにつれて組み合わせパターンの数が指数関数的に増大するため、既存の計算機で高速に解くことは困難だ。東芝グループは、既存計算機を用いて複雑で大規模な問題の高精度な「近似解(良解)」を短時間で得られるようにするシミュレーテッド分岐マシン(SBM)を核としたソリューションであるSQBM+の応用先の開拓を進めている。