リコーは、CVC（コーポレート・ベンチャー・キャピタル）ファンド「RICOH Innovation Fund」を通じて、医療・介護分野で働きやすい環境づくりを支援するきゃりこん.com（神奈川県茅ケ崎市）と資本提携した。今回の提携を通じて、人工知能（AI）技術を活用した医療・介護分野のデジタルサービスの強化を図る。

　医療・介護現場では、医師や看護師、介護職員などの人材不足が深刻化しており、離職防止や職場定着が大きな課題となっている。個々の職場での人間関係に起因する問題も多く、組織全体での支援体制の整備が求められている。

　きゃりこん.comは、こうした課題に対し、職場の健全性を組織的に高めるサービス「toHANAS（とはなす）」を展開している。同サービスは、従業員のコンディションをデータで可視化し、国家資格キャリアコンサルタントによるオンライン面談や、AIによる面談内容の要約・振り返りまでをワンストップで提供するのが特徴。

　リコーはこれまで、医療・介護業界に向けたプリンターや介護請求・記録アプリケーションなどに力を入れてきた。「リコーけあマルシェ（統合見守りシステム）」や「メディカルマネージドサービス」、「RICOHオンライン資格確認システム」などを展開している。

　今回の提携により、両社は「ヘルスケアの現場ではたらく人々に歓びを」をテーマに、AI技術を活用した業務効率化と職場改善を推進。リコーは2023年11月に設立したRICOH Innovation Fundを通じて、今後もスタートアップとの連携を拡大し、社会課題解決型の事業創出を進めていく方針。