2025.11.18 米マウザー、多彩・迅速な製品群を供給 ASEAN市場開拓を強化
にぎわうPSECでのマウザーブース
電子部品の大手ディストリビューター、米マウザー・エレクトロニクスは10月末、マニラで開催の部品・半導体関連の展示会「PSEC」への出展を機に、ASEAN(東南アジア諸国連合)市場での販売強化に取り組む。東南アジア市場担当のダニエル・ロー(Daniel Loh)副社長が、マニラで本紙の取材に応じた。同社の東南アジア部門は、オーストラリアなどの大洋州やシンガポール、マレーシア、ベトナム、インドネシア、タイ、フィリピンをカバーしている。
ロー副社長によると、「当社は世界で事業展開しているがフィリピンは当社にとってもっとも新しい市場。2019年に拠点を設けたばかりだ」という。フィリピンの業界団体PSECEによると、電子製品はフィリピン最大の輸出商品。24年は金額で全体の58.4%を占めるほど、フィリピンの輸出の花形商品になっている。
一方で、24年に427億4000万ドルに達した電子関連の生産額は、59.4%の落ち込んだ。PSECEは、米中貿易摩擦などの影響がフィリピンにも及んでいると、分析している。
こうした下降気味の国内市場だが、「製品群をフィリピンに向けて投入する動きは感じられる」とロー副社長。現在フィリピンには、部品を多く使うJabil(ジェイビル)、Celestica(セレスティカ)、Plexus(プレクサス)、Sanmina(サンミナ)といった北米の有力EMS(電子機器の受託製造サービス)企業が少なく、こうした企業の多くがシンガポールやマレーシア、タイなど近隣諸国で事業展開している。
このため電子部品の需要は、フィリピンまで回ってこないのが現状だ。それでもロー副社長によると、フィリピンが強い半導体試験装置関連に何とか活路を見出そうという動きが活発化してきたという。
ロー副社長は自社の特徴について、「当社製品群はバラエティに富み、多品種少量生産の企業向き。在庫も2回転ほどある。部品の供給不足にも対応できる」と語る
マウザー自体は昨年、創業60周年を迎えた。米テキサス州マンスフィールドに150万フィートの大規模流通センターを完成させ、1200社の製品をストックしているという。
内部は、150台の垂直リフトモジュール(VLM)を完備。自動梱包システムや出荷システムを駆使し、顧客ニーズに迅速に対応している。










