2025.11.13 米メタレンズと台湾UMC、顔認証用光学部品の製造で提携
メタレンズのロブ・デブリンCEO
光学技術開発のスタートアップ、米メタレンズ(Metalenz)と台湾の半導体ファウンドリー聯華電子(UMC)は13日、メタレンズの光学技術をUMCの半導体製造ラインに組み込むことで合意したと発表した。この結果、光学部品の量産が従来の光学工場でなく、UMCの工場で可能になり、精度とコスト効率が大幅に向上する。
メタレンズは、2016 年設立のハーバード大学発の新興企業。一方でUMCは、TSMC に次ぐ台湾の有力半導体ファウンドリー。今回の提携により、従来使用されている複数のレンズを1枚の「Metasurface(メタサーフェイス)」と呼ばれる光学技術に置き換えることで、機器の薄型化が可能になる。
メタレンズ開発の次世代顔認証技術「Polar ID(ポーラーID)」は、従来のアップルの顔認証技術「FaceID」方式や赤外線ベースの認証方式とは異なり、偏光情報を利用している。メタレンズによると、メタサーフェイス技術をイメージセンサーに直接統合し、1枚の画像で高精度の顔認証が可能になるという。
メタサーフェイス技術は、ナノスケール構造の超薄型人工表面。光や電磁波の伝播を制御するために設計され、スマートフォン用カメラのレンズスタックを1枚のメタサーフェイスで代替可能とされている。メタレンズのロブ・デブリンCEOは、UMCとの提携で「UMCの40 ナノプロセス技術により、民生電子向けのポーラーID需要に対応できるようになる」と語った。
さらに、UMCの300ミリウエハー製造技術により、民生電子製品やモバイル製品、IoT機器向けにポーラーIDの量産が可能になる。メタサーフェイス技術を利用すれば、スマホ用カメラの薄型化と高性能化に加えて、AR(拡張現実)・VR(仮想現実)機器の軽量化や顔認証、医療、産業用検査などでも威力を発揮するという。
なおメタレンズは、7月にもスイスの半導体メーカー、STマイクロエレクトロニクスともメタサーフェイス光学技術の普及と量産加速の提携を発表している。









