2025.11.28 ダイキンのデータセンター冷却事業 北米で30年までに3000億円目指す
北米でのDC向け冷却事業戦略を説明する宮武執行役員
ダイキン工業は、北米のデータセンター(DC)向け冷却事業の売上高を2030年までに現在の約1000億円から約3倍の3000億円以上を目指すと発表した。同社が買収した米国の企業が持つ冷却技術と同社の製品を組み合わせ、制御システムとともにソリューションを提供していく。
同社は現在、北米のDC向け冷却システムで第3位のシェアを誇る。同社の推定によると25年の北米のDC向け冷却市場は、約1兆1000億円で、30年には約2.5倍の約2兆7000億円に成長すると見込んでいる。背景には、クラウドサービスの拡大でDCの新設が増加していることに加え、AI(人工知能)の普及でサーバーの発熱量が増大していることがある。
同社は、DC向けの冷却事業を「中長期の重要な成長ドライバー」と位置付け、独自の冷却技術を持つ米国企業の買収を進めてきた。DCに求められる冷却方式は、多様化、高度化が進んでおり、同社は、複数の空調冷却の技術を組み合わせることで需要に対応していく。
DCの主な冷却方式は①室内全体を冷やす大空間冷却②ラック単位で冷却するサーバー冷却③半導体に冷却液が流れる金属板を密着させるチップ直接冷却――の3種類がある。アプライド・ソリューション事業担当の宮武正明執行役員は「それぞれの分野で特徴のある会社を戦略的に買収することで、全てを取りそろえ、ワンストップで最適な冷却設備を提供できることが当社の強みだ」と力を込める。
大空間冷却領域では、23年に買収したアライアンスエアー社のエアハンドリングユニットとダイキンの大容量で高外気に対応したチラーを組み合わせて提案する。北米は大型のDCが多く、建物全体を安定して冷やす技術が求められている。アライアンスエアー社の大型エアハンドリングユニットは、顧客に合わせて仕様を変更できる高いエンジニアリング力と省エネ性能が特徴だ。
サーバー冷却領域は、今年9月にDynamic Data Centers Solutions(DDCS)を買収し、新規に参入した。同社は、2019年創業のベンチャー企業で、サーバーラックごとにキャビネットを覆い冷却する特許を取得した技術を持つ。26年春に量産体制を構築し、30年までに3割のシェア獲得を目指す。
チップ直接冷却領域では、11月に負圧式液体冷却システムで実績を持つスタートアップのチルダイン社を買収。真空方式を採用することで液体冷却システムの課題であった液漏れのリスクを低減している。26年春までに量産体制を構築し、需要に応えていく。
これらのシステムと合わせて提案していくのが、今後開発を進める制御システムだ。宮武執行役員は「冷却システム全体の最適化を1社に任せられるということは、他社との差別化の源泉になる」と強調する。
26年度には、ダイキンとアライアンスエアー社、DDCS、チルダイン社による開発ハブを北米に設け、三つの冷却方式を一体で強化する体制を整える。北米でモデルケースを作り、日本を含めた他地域へも横展開していきたい考えだ。
宮武執行役員は「日本では、DCの建設地に制約があり、都市型のDCが増えているため、DDCSのラック冷却は、国内市場にも打って出ることができると確信している。北米を最重要拠点としながら日本や他地域へ(の展開に向け)検討を重ねていく」と展望を語った。







