2025.12.03 準天頂衛星システム「みちびき」7号機の機体公開 7機体制で高精度測位実現
内閣府、JAXA、三菱電機、NECが共同で開発に取り組んだ「みちびき」の7号機
準天頂衛星システム「みちびき」の7号機の機体が、報道機関向けに公開された。みちびきは、内閣府や宇宙航空研究開発機構(JAXA)、三菱電機、NECなどが共同で開発・運用に取り組んでいる。5~7号機を2025年度内に打ち上げ、他国のシステムに頼らずに通信サービスを利用できる7機体制を構築する。
みちびきは、アジア・オセアニア地域に特化した衛星測位システム(GNSS)で、現在は5機体制で運用されている。位置情報と時刻情報を含む測位サービスを提供する。
7機体制の構築で、みちびきのみでの測位が可能なGNSSを展開する。12月以降の打ち上げを予定している5~7号機には、JAXA開発の「高精度測位システム(ASNAV)」が搭載され、測位誤差約1mを実現した大幅な測位精度向上が期待される。
既存のGPS(全地球測位システム)にはない、みちびき特有のサービスとして「測位補強サービス」と「メッセージサービス」を展開する。測位精度を向上させるための補強情報を送信する測位補強サービスでは、専用の受信機を活用することでセンチメータ級(CLAS)までの測位補強が可能だ。従来のGPS測位の誤差がテニスコート反面サイズの約10mだったのに対し、みちびきはテニスボールサイズの約6cmの測位誤差を実現する。
地上と衛星間の通信機能を活用したメッセージサービスも提供。地震や津波などの災害発生情報をみちびき経由で配信する「災害危機管理通報サービス」は、円滑な情報提供や早期の復旧への支援が期待できる。みちびきの信号を受信できる海外エリアへの配信も可能だ。
準天頂衛星システムの構成には、三菱電機が衛星機体の製造、NECが通信システムの構築など官民連携で取り組まれている。自動車や農業などあらゆる分野でみちびきに対応した製品は拡大しており、新サービスの実現や産業振興に必要なインフラの構築が期待される。
みちびき7号機の打ち上げは、2026年2月1日を予定している。内閣府宇宙開発戦略推進事務局準天頂衛星システム戦略室の三上健治室長は「2010年の初号機打ち上げから約15年で7機体制を確立できた。まずは打ち上げを成功させ、7機体制での基盤をしっかりと確立させていく」と力を込めた。今後は衛星間のバックアップ強化やエリア拡大に向けて11機体制への拡張を計画している。









