2025.12.09 ベトナム自動車メーカーのビンファスト、有望な印市場の開拓へ車種増強
ビンファストのタミル・ナードゥ工場
ベトナムの自動車メーカー、ビンファストは8月の同社初のインド工場開設に続き、今月4日には同工場に隣接して電動バスや電動二輪車向け新工場の建設で、地元政府と調印した。車種を増やすことで、人口が世界トップのインド市場へ攻勢をかける。
同社は、ベトナムの財閥ビングループの自動車部門。電気自動車(EV)で中国勢に対抗し、ASEAN地域や欧州への進出を強化している。最近では、特にインド市場で中国のBYDや米テスラより先行する戦略で、製造拠点の強化や販売網の構築を急ぐ。
ビンファストは、8月に5億ドルを投資し、タミル・ナードゥ州南部の港湾都市トゥートゥックディのSIPCOT工業団地に完成させた新工場でEVのセミノックダウン(CKD)生産を開始したばかり。インド工場は、同社にとって海外工場第1号。生産第1号車は、電動SUVの「VF7」だ。本格稼働は26年で、 400エーカーに上る敷地の同工場で当初は年間5万台を組み立て、3500人を雇用した時点で年間15万台へ生産を拡大する。
乗用車に次いで同社が打ち出したのが、電動二輪車と電動バスの生産計画。4日、タミル・ナードゥ州政府と工場建設の覚書(MOU)を交わした。SIPCOT工業団地の現工場に隣接した500エーカーの土地に、電動二輪車や電動バス専用の作業場や生産ラインを備えた工場を建設する。生産台数は明らかにされていない。
生産は電動バスが26年8月までに開始し、電動二輪車も同時期の予定。投資額は全体投資20億ドルのうちの5億ドルで、EV 工場の第1期投資と同じ。州政府は電気や水道、団地内部の道路整備、排水、汚水管理などのインフラ整備を急ぐ。
ビンファストによると、インドでは電動二輪車の人気が根強く、すべての電動車のうち最大の需要だ。昨年の国内全電動車の販売台数195万台のうち、約60%に相当する117万台が電動二輪車だった。
ビンファスト・アジア社のファム・サン・チャウCEOは、「タミル・ナードゥでの生産品目の増強は、EVから電動バス、電動二輪車へとインドでのラインアップを拡充することで消費者のニーズを満足させたい」と語っている。










