2025.12.16 ナノイー技術で初 運転中の集中力向上を検証 パナソニック
運転シミュレーターを使い、ナノイー技術の集中力向上を検証した
パナソニックは、インド工科大学ボンベイ校(IITB)交通システム研究室の教授監修のもと、ナノイー(帯電微粒子水)技術が運転中のドライバーの集中力向上につながる可能性を検証した。今後、ナノイーが生体に与える効果について、メカニズムの解明にも力を入れる。
今回の検証は、危険が想定される運転環境下で、ナノイー技術がドライバーの認知・判断・操作に与える影響を一貫して分析した初の試みとなる。
ドライビングシミュレーターを使い、ドライバーの脳波とアイトラッキングによる生体データ、アクセル・ブレーキなどの運転操作データを組み合わせて分析した。
その結果、危険環境下(交差点右折侵入の場面)で集中状態の高まりを示す脳波パターンを確認。また、注視すべき対象(歩行者飛び出し)への視線が安定し、不要な視線移動が減少した。
このことから、ナノイー技術はドライバーの集中力向上を支援し、運転パフォーマンスを高める可能性があることを示唆する結果となった。
試験は、IITB実験室チャンバー内で、インド在住の21歳~42歳の男女20人を対象に実施。ナノイーの照射の有無で比較した。ナノイー照射濃度は、被検者位置で約250×10⁸(個/cc)。
集中力向上では、集中力の指標であるα波がナノイー有りで減少した(少ないほど集中力が向上)。また、ナノイー有りで注視時間が減少する傾向を確認。認知負荷の軽減と視覚処理の効率化による注意力の向上が示唆された。
なお、この研究は実車とは異なる試験条件下で、インド在住者を対象に実施されたもので、日本国内でのさらなる研究が必要とする。
ただ、ナノイー技術は運転をはじめとする高度な情報処理・操作を必要とする作業で、人の集中力を支援する技術としての発展が期待できる。
「(ナノイーの)新たな価値提供につなげたい」(くらしアプライアンス社 くらしプロダクトイノベーション本部 コアテクノロジー開発センター 佐々木正人所長)とし、今後実車での検証やナノイーの生体への効果メカニズムの検証など、さらに研究領域の拡大につなげる考えだ。
これまでナノイー技術は、花粉、PM2.5など有害物質といったモノに対する効果の実証に力を入れてきた。近年はストレス解消など、生体への効果検証へと幅を広げ、ナノイー技術が空質の改善にとどまらない技術であることを解明していく。









