2026.01.27 酉島製作所 川崎重工から大流量液化水素ポンプを受注
JAXAでの液化水素ポンプ運転試験(2024年)
大型・高圧ポンプなどポンプ専業メーカーとして創業100年以上の実績を持つ酉島製作所(大阪府高槻市、トリシマ)は、川崎重工業より、大流量液化水素ポンプを受注した。
川崎重工が建設を進める国の助成事業を活用した官民連携による世界最大級の液化水素基地「川崎LH₂ターミナル」向けに、トリシマが2024年に世界で初めて運転試験に成功した、「超電導モータ搭載型液化水素ポンプ」が正式採用される。
カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現には水素の活用が欠かせないが、水素コストの低減が求められる。このため、水素を液化し800分の1の体積にして大量運搬することが有効な解決策として考えられる。
この場合、必要不可欠となるのが、-253℃まで冷却した液化水素を、大流量でガス化しないよう効率的に移送するポンプとなる。
同社はこの開発に挑戦し、21年から高温超伝導モーターを研究してきた京都大学と共同で開発に着手。24年には、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の能代ロケット実験場(秋田県)で、-253℃の液化水素を用いた運転試験を実施。想定通りの性能を確認した。
高温超伝導モーターを使うことで、モーター発熱を極限まで抑え、極低温の液化水素のガス化を抑制し効率的な昇圧を可能とすることで、液化水素ポンプとして世界最大流量、遠心ポンプによる昇圧量として世界最高圧を達成した。
脱炭素化に歴史的一歩
川崎LH₂ターミナルは、日本水素エネルギー(JSE)が事業主体となり、川崎重工を代表企業とする共同企業体が主要コントラクターとして設備の設計と建設を進めている。
同ターミナルは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が推進する「グリーンイノベーション基金事業」に採択された「液化水素サプライチェーンの商用化実証」における重要な設備。
世界最大級となる液化水素貯蔵タンク(貯蔵容量5万㎥)をはじめ、海上荷役設備(出荷・受入両機能を含む)、水素液化設備、水素送ガス設備、液化水素ローリー出荷設備などを備えた世界初となる商用規模の液化水素施設となる。
今回トリシマが受注したのは「液化水素昇圧ポンプ」5台および「液化水素積荷ポンプ」1台。これらのポンプには、同社が24年に運転試験に成功した「超電導モータ搭載型液化水素ポンプ」が採用される。
液化水素昇圧ポンプは、モーター容量50kW、流量が最大51.8 m³/h、全揚程が同2400 m、回転速度は同5300 min⁻¹。「液化水素積荷ポンプ」は、モーター容量105kW、流量700 m³/h、全揚程510m、回転速度3350 min⁻¹となる。
こうしたスペックの実現について同社は、世界の水素産業界にとって、遠心ポンプ実用化への扉を開く画期的な一歩と位置付ける。脱炭素社会実現に向けた歴史的な役割を担う事業にもなる。
今後も、より大流量・高圧・高効率な液化水素ポンプの技術開発を推進し、大規模水素サプライチェーンの構築に貢献していく方針だ。








