2026.08.25 東レ、CFRPのマテリアルリサイクル性を向上させる高精度材料設計技術を開発 機械学習を活用した、MI分野で独自の予測モデルを構築

 東レは、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のマテリアルリサイクルに関し、マトリックス樹脂(※)である熱硬化性樹脂のリサイクル性(分解・再利用のしやすさ)と力学特性を両立する材料を高精度かつ効率的に選定できる材料設計技術を開発したと発表した。今後、同技術を活用した材料開発実証を進め、マテリアルリサイクルが容易なCFRPの社会実装を目指し、航空機、自動車、一般産業用途など幅広い用途展開を検討していく。

 CFRPは軽量かつ優れた力学特性を持ち、航空機や自動車などの構造部材への適用が拡大している。一方で、使用済みCFRPの増加に伴い、CFRPのリサイクル需要の高まりが見込まれる。しかし、CFRPに用いられる熱硬化性樹脂の再利用では、ケミカルリサイクルによる原料化や、再成形可能な熱可塑樹脂化などの技術も必要で、分解コストが高いという課題がある。高い強度や耐久性を実現する材料設計と、リサイクル性との両立は難しく、開発には長期の期間を要する。

 同社は、長年蓄積したCFRP設計のノウハウを基盤に、マテリアル・インフォマティクス(MI)の機械学習を活用した新たな材料設計技術を確立した。同技術では、リサイクルCFRPの樹脂の分子構造とリサイクル性・力学特性との相関関係をデータとして体系的に整理・学習させることで、従来の特性予測モデルと比較して、リサイクル性と力学特性を両立するマトリックス樹脂候補選定の予測精度を、最大約25%向上する機械学習予測モデルの構築に成功した。さらに、同モデルを用いて絞り込んだ組成が、CFRP化した後も樹脂が分解・再利用しやすい特性を維持することを確認した。

 同モデルの適用により、CFRP材料設計の初期段階で効率的に候補材を絞り込めるため、各種の要求特性に合わせた迅速な設計検討を進めることができ、今後実験やシミュレーションによる候補材料の評価件数を数千から数万規模で削減することが期待できるという。

 同技術の一部は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期における「サーキュラーエコノミーシステムの構築」により実施されている。

 ※マトリックス樹脂 炭素繊維などの強化繊維と組み合わせて複合材料を形成する樹脂成分を指し、硬化・固化することにより複合材料の形状を保つ機能に加え、複合材料の耐熱性、難燃性、リサイクル性などの特性発現に寄与する。