2026.08.31 【ソリューションプロバイダー特集】日本事務器 田中啓一代表取締役社長

全社横断でAI活用を加速、現場の知見を顧客サービスへ

 2026年度前半はDXやITの需要が高く、堅調に推移した。一方、サーバーの供給不足で納期が決まらない案件もあり、顧客の要望に対していかに柔軟に対応できるかどうかが重要だ。セキュリティーへの関心も高まり、システム提案への組み込みが定着した。

 生成AI(人工知能)の活用に向けては①当社サービスへの機能追加②社内業務での活用③お客さまの活用支援の3分野で取り組んでいる。4月には「デジタルイノベーション推進室」を立ち上げた。部門をまたいだ「ハッシュタグ型」のバーチャル組織で、五つのミッション別にチームを設け、次世代SI(システム構築)手法、顧客向けソリューション、AI活用基盤、人材開発、実装などを横断的に推進する。人事は人事、営業は営業と個別に進めるのではなく、一貫した考え方のもとで推進することが狙いだ。

 まず社内で試し、効果が見込めるものをサービスとして切り出すことも考えている。活用ケースとしては、電子カルテの退院サマリー作成、手書き注文書のデータ化など、活用場面は広い。業界知識や企業文化、ベテラン社員の暗黙知もAIを活用して次世代へ継承し、「社員一人ひとりにAIの相棒」を実践できるようにしていきたい。

 現場で蓄積したデータを価値へ変える取り組みも進んでいる。青果流通アプリ「fudoloop」は、平均価格や出荷量が高まる傾向を大学との共同研究で確認し、今後は労働コストへの影響や買参人群の拡大など、課題に対するDXの効果を多角的に検証する。水産業では「MarineManager +reC.」を使い、操業判断の支援や費用削減効果を分析し、生成AIの応用も探る。

 教育分野では、学校図書館の資料活用データなどを学習した「AI学校司書」の実現を目指す。学校司書が不在でも、児童生徒への資料提供が可能になることで、教員や司書をサポートし、教育の機会均等の実現につなげる考えだ。

 今後の事業活動で、AIなしということはおそらくないだろう。相手もAIを使って情報収集をする時代であり、自社のさまざまな情報がAIから選ばれるようにするための取り組みも必要だ。足元の業績だけでなく、その先の事業の方向性を見据え、引き続き時代の変化に柔軟に対応していく。