2020.07.18 データの流通や活用を促す連携組織日立や東大など産官学が12月発足
日本の産官学がデータの流通や活用を促す連携組織を12月に発足させる。国内大手IT企業が加盟する官民データ活用共通プラットフォーム協議会(東京都港区)など関連5団体が協力し、分野の垣根を越えて有用なデータを効率よく探し出せる基盤を構築するほか、データ活用を促す制度や情報処理を担う人材の面でも協力。デジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)につながるデータの活用力が産業界の国際競争力を左右する時代の本格到来に備える。
同協議会のほか、都内のデータ流通推進協議会(港区)や日本IT団体連盟(千代田区)、オープン&ビッグデータ活用・地方創生推進機構(同)、国立情報学研究所(同)が手を組み、産学官一体でデータの流通と活用を促す連携組織「dataex.jp(データイーエックスドットジェイピー)」を12月に設立する予定だ。
連携組織の設立に向けて5団体はこのほど、準備協議会を設立すると公表した。会長は越塚登東京大学教授が務める。事務局は日立製作所とNTTデータ経営研究所が担当。富士通やNECなども参画する見込みだ。
連携組織は、データ活用に関する技術や制度・人材面の課題を共有し、単一の企業内に閉じた形で使われていたデータをオープンに生かす「データエコシステム」の構築を目指す。
分野横断のデータ検索機能やデータ内容を項目別に整理する「カタログ」機能などを集めたポータルサイトを21年度に立ち上げる。消費者に身近な気象データを農業や運輸、小売業の革新につなげるなど、データビジネスの可能性を広げるきっかけとなりそうだ。さらにデータの運用基準を統一化するほか、中小企業のデータ活用を促す環境の整備も狙う。
分野横断でデータを連携させるビッグデータの整備を巡っては、米国や中国が先行。日本はデータ活用に向けた研究論文数や関連ビジネスの展開で後れを取っている。内閣府が主導する大型プロジェクト「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」では、そうした現状を踏まえて分野横断のデータ連携を促す基盤技術の研究開発を重点課題と位置付けており、そこでの成果も今回の連携組織に生かす方針だ。