2020.07.30 【電子部品技術総合特集】日本ケミコン野上勝憲執行役員
野上 執行役員
材料から組立まで総合力を重視
日本ケミコンは、直近の事業ベース、中長期成長戦略の両面で5G、車載分野での新製品開発を継続する。
研究開発本部に、製品技術、基礎研究、ソリューション開発、生産技術、材料技術といった各担当部門を配置し、それぞれの具体的な開発を展開する体制。
新型コロナウイルスの感染が広がり、経済活動に大きく支障を来しているが、「顧客との面談の代わりにWebといったデジタルツールをうまく活用するようになった。これはグループ内での開発部門だけでなく、お客さまとも活用が広がり、お客さまから逆に開発会議の依頼も増えてきている」と研究開発本部長の野上勝憲執行役員は、新たな開発スタイルを取り入れながら新製品開発を推し進めている。
野上執行役員が新製品開発で重視しているのは、「お客さまのためのソリューションを提供するためには、材料から組立てまでの総合力」という。
特に5G、車載などの先端分野での新製品開発では、「高周波化、高速伝送、自動車の電動化、ADASおよび自動運転などへの対応では、これまでの材料技術から次世代材料へと転じなければ製品化できない。基礎研究を絶え間なく、継続していきたい」としている。
コンデンサは、アルミ電解コンデンサ、導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ(ポリマーコンデンサ)、導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ(ハイブリッドコンデンサ)のそれぞれの特性、特徴を生かし、用途開発を展開する。
アルミ電解コンデンサは、小型、大容量、長寿命といった基本的な技術進展をベースに、大型品の高耐電圧化、小型品の高周波化対応などを進めていく。
ポリマーコンデンサは、低ESRの特徴を生かし、低耐圧分野での用途開拓のための新製品開発を加速。
ハイブリッドコンデンサは、高耐圧分野での技術進化に取り組む。
野上執行役員は、「電解コンデンサは3タイプでの技術競争が製品のラインアップを充実させ、5G基地局、xEVなどの分野でそれぞれの特徴が生かされて、採用が進展している」と見ており、今後もそれぞれの特性を引き上げて、電解コンデンサ総合力で新たな市場を創造していく。
電気二重層キャパシタは、これまで大容量ネジ端子タイプを主力に展開。マイナス40-プラス85度の使用温度に対応。エネルギー回生による燃費改善やアイドリングストップ、低温クランキング用途などに推奨してきた。これに加えて、高出力リード形を開発し、量産規模を拡大している。
「自動ドアロック解除やeCall、Xバイワイヤなどバッテリ喪失時のバックアップ電源に最適で、今後、さらに安全性に対する信頼性の確保のために自動車分野で一大市場を形成する」(野上執行役員)として製品ラインアップを拡充していく考えだ。