2020.07.30 【電子部品技術総合特集】オータックス富田周敬社長

富田 社長

顧客に役立つ商品サービス開発へ

 オータックスは、「メーカーサービス業」を方針に、「顧客に役立つ商品サービス」を開発ポリシーに各種商品開発を進めている。

 今年7月の組織改編で技術担当役員兼務となった富田周敬社長は、技術開発の取り組みについて、「直近では新型コロナの影響もあるため、グループ間のリソースを活用しながら、当社の工場がある日本、中国、タイ、マレーシアの各エリアで、顧客の近場での対応に努めている」と述べる。

 新製品開発では、電源スイッチは、既存顧客の使い勝手向上や新規顧客開拓を目的に、防じん防水対応かつ低コストの電源スイッチ開発などを進めており、今秋以降の発売を予定。DIPスイッチも今後リニューアルを検討していく。金属超音波接合技術を活用した次世代のスイッチやコネクタ開発へのソリューションなども推進する。

 サプライチェーン改革では、「当社は、中国のほか、タイやマレーシアにも工場があるが、パンデミックを想定して、一段のサプライチェーン強化を考えていく。最近はASEANの人件費も上がっているため、一層の自動化も進める」(富田社長)。

 さらに、「コロナ禍により企業のリストラや倒産の増加も予想されるため、そうした人員の採用にも力を入れる」(富田社長)としている。

 その一環として先頃、富士通コンポーネントのコネクタ事業の一部を譲り受けることで事業譲渡契約を締結した。

 富田社長は今後の技術開発方針について、「既存製品をリニューアルし、ローコスト化を追求する。技術担当役員を兼務することで、工場への指示命令系統の迅速化にもつながると考えている。将来的には、モノづくり産業の裏方として、ファブレスに対応した設計・製造サービスを提供したい。自動化もさらに推進し、製造のプラットフォーム化を図り、クラウドを活用して顧客にも生産状態の見える化を提供できるようにしたい。そのための見える化システムの開発も進めている」と話す。

 同社は18年に欧達可電子(深圳)の生産技術部門を独立させ、生産設備の設計・製造を行う新会社を設立した。同法人はグループ内の自動化関連業務に加え、外部顧客への設備販売も一部スタートしている。

 また、医療関連事業では、新型コロナウイルス検査に使用されるパルスオキシメータ関連といった事業も手がけている。