2020.07.30 【電子部品技術総合特集】指月電機製作所足達信章社長
足達 社長
課題解決へVプロジェクトを開始
指月電機製作所は、10年後の指月グループのあるべき姿として打ちだした長期経営ビジョン(19-28年度)で「挑戦する社風へと変革し、品質第一のモノづくりと、未来を見据えた新技術・新商品の開発、グローバルな事業展開の推進により、社員の夢を実現し社会に貢献する企業グループになる」ことを掲げた。
研究開発も〝挑戦する社風〟を▽持てる技術に磨きをかける▽将来志向の開発--の両柱で実現を図る。
足達信章社長は「新型コロナウイルス感染拡大の中で、時代の変化に対応する。技術の変革に追随して存在価値を高めることが強く求められている。持てる技術に磨きをかける、将来志向の開発のために技術者が積極的に活動できる取り組み、体制づくりを進めている」と説明する。
その一つとして開発、設計、品質、生産技術、製造(九州、岡山、秋田)からコアになる技術者10人ほどを集めて「Vプロジェクト」をスタートさせた。
課題を抱えた工場にVプロジェクトが出向き、工場の個別チームと一緒に課題解決に当たっている。さらに課題が出てくれば次のテーマにして、Vプロジェクトと工場の個別チームが連携して課題解決をする体制づくりも始める予定だ。
20年度からは技術者育成プログラムを開始。技術者から、1年間取り組みたい研究開発テーマを公募した。今年は複数のテーマが採択され、1年間、担当業務を離れてテーマの研究開発に専念する。
足達社長は「チャレンジャブルな研究開発部門であることが我々の目指すことだ。その中で先進的なアプローチが出てきてくれることを期待している。産産、産学のほか、研究機関などとの連携にも力を入れ、先端技術や先進アプリケーションにしっかり対応していく」と言う。
125度耐熱性フィルムコンデンサで合弁会社を設立し、20年度から同コンデンサを両社で販売する村田製作所や、リアクトルを共同研究している佐賀大学など外部との連携を強めるほか、19年1月に兵庫・西宮名塩事業団地に竣工させたコンデンサ研究開発棟でも同棟に集結させた約30人の技術者がアクセスの良さを生かし、積極的に大学や研究機関、民間企業など外部とのつながりを深める。一方、自社にない試験設備や研究設備を使って、基礎研究から製品開発のスピードアップを図っている。