2020.07.30 【電子部品技術総合特集】バイコー小嶋和洋部長

小嶋 部長

幅広い電源製品提供

 バイコーはインダストリアルとAI(人工知能)・データセンター(DC)、自動車を重点開発分野とし、最先端の技術革新に貢献している。電源専業メーカーとしての高い技術とノウハウを生かして、小型、高効率、高電力密度の電源製品を幅広い産業に提供する。

 同社は米国マサチューセッツ州に本社を置く、電源コンポーネントの専業メーカー。1981年の創業以来、独自の技術力を生かした電源設計・開発を行ってきた。DCやHPC、産業機器、ロボティクス、自動車、鉄道、通信、航空宇宙など幅広い分野に製品供給を行っている。

 開発は米国本社で、集中的に行っている。毎年売上高の約16%を研究開発への投資をするなどして、高性能を誇る電源の開発に余念がない。

 インダストリアルやAI・DC事業を統括する小嶋和洋部長は「当社の技術は、他社よりも7-8年は進んでいると自負している。顧客も技術力を持つ企業というイメージを持ってくれており、電源に関する困り事を相談してくれる企業は多い。いち早く課題が解決できるようにサポートしている」と話している。

 日本市場においてはインダストリアル、AI・DC、自動車の重点3分野での開発案件が多数ある。「各分野で最先端技術を有しているリーディング企業が日本には多い」(小嶋部長)とし、日本法人として顧客のニーズを的確に把握した上で、本社と綿密な協力体制を取りながら、最先端製品の開発につなげている。

 特にAI・DC分野では、高速演算処理を実現するため最先端のCPU/GPU開発が加速。DC用のハイエンドCPU/GPUの大電流化への電源の需要が高まっている。電源開発のテーマとなるのが①小型・軽量化②高効率③高電力密度--の3点。CPU/GPUの開発スピードは速く、開発の初期段階から顧客と連携を密にしつつ自社製品の開発に取り組んでいる。

 新型コロナウイルスの影響により、顧客の製品開発にも変化が見え始めた。例えば、AI・DC分野のワクチン開発にスパコンを活用するなど、ハイエンドのサーバーやHPCの開発が加速している。インダストリアル分野も今後ますます自動化が加速するだろう。同社でも、これらの分野に向けた製品供給を高め、開発にも注力している。

 小嶋部長は「社会環境が劇的に変化する中で顧客ニーズを素早くキャッチし、スピード感を持って本社へ開発要求を行っていく。日本からの情報が製品コンセプトに生かされるなど、本社の製品開発への影響は大きい。当社の高い技術力と経験を生かし、顧客の課題解決に貢献する」と抱負を述べる。