2020.09.18 【ASEAN特集】マレーシア6.6兆円の経済刺激策を発表
アズマン・マフマドCEO
マレーシアでは3月18日に移動制限令(MCO)が発令され、2カ月後に条件付き移動制限令(CMCO)に緩和されたものの、この制限は年末まで継続の見込み。
経済はフル活動に入っているものの、政府が決めた厳しい標準作業手順書(SOP)に準拠した操業が要求されている。
今回のパンデミックはマレーシア経済を直撃した。今年第2四半期のGDPは前年同期より17.1%減。
しかし国内のGDPは月を追うごとに改善に向かい、4月はマイナス28.6%だったのが6月にはマイナス3.2%に反転した。
21年に向けてマレーシア中央銀行、国際通貨基金(IMF)、世界銀行などのGDP成長率予想はともに6%以上になっている。
マレーシアは国外からの投資が経済成長の要因の一つになっている。投資を推進する政府機関がマレーシア投資開発庁(MIDA、アズマン・マフマドCEO)だ。
パンデミックや米中の貿易緊張関係が緩和されない環境下、世界の経済状況は見通せない。それでもマレーシアは税制面を含めた経済優遇政策や雇用を前面に出し、投資環境の良さを世界に訴えていくとマフマドCEOはいう。
政府は最近、パンデミックによる経済支援と税の減免など含めた短期政策として2600億マレーシアリンギット(RM、約6兆6000億円)の経済刺激策を発表した。国民救済、事業支援、経済活性化が主な狙いだ。
政府はさらにMCOの期間中、国民生活に不可欠な産業による申請の早期承認や事業継続に必要な資源の確保に全力を挙げている。
同時にMIDAもMCOの期間中は各種申請の処理を迅速化するなど企業の事業活動をサポート。
350億RM相当の政府の経済再生計画(PENJANA)はポストコロナにおけるニューノーマルと呼ばれる国民生活の救済策でもある。
若者や失業者に向けた技能取得やスキルアップの予算として20億RM、基幹産業の電機・電子やICT分野の技術者のスキル向上にも2億5000万RMが振り分けられている。
ポストコロナ時代の到来を見据え、MIDAは投資案件の迅速な承認と実行に乗りだした。
特に製造業やサービス業の承認を迅速化するためのプロジェクト推進調整部門(PACU)の設置、事業者がオンライン申請できる仕組みの構築などだ。
マフマドCEOは、MIDAは常に投資環境と事業環境を見守っており、申請から事業スタートまで外国からの投資が順調に進むよう体制を整えている、と述べ、投資はいつでも歓迎の姿勢を示している。