2021.01.12 BOEジャパン、8K映像をネット回線で視聴110インチ8Kディスプレイとクラウド活用 コンテンツを簡単に配信

 BOEジャパン(東京都港区)はこのほど、超高精細8K映像を一般的なインターネット回線を使って視聴できる仕組みを開発した。新開発の8Kデコーダを内蔵した110インチ8Kディスプレイと、クラウドを活用した8Kコンテンツの配信基盤を組み合わせることで、特別な設備を置かずに8Kディスプレイを設置するだけで8Kによるパブリックビューイングや、サイネージ(電子看板)が実現できるほか、医療現場や監視システムなどとしても利用できるようになる。

8Kデコーダ内蔵

 開発したシステムは、110インチの8Kディスプレイに8Kコンテンツを簡単に配信し、いつでもどこでも8K映像を楽しめるようにしたもの。新開発の110インチ8Kディスプレイは178度の広視野角を実現するとともに、一般的な8K/60ヘルツの2倍に当たる8K/120ヘルツを実現した。映像や音声を伝送するための通信規格「HDMI2.0」のポートが四つ、次世代規格「HDMI2.1」のポートが一つ搭載されている。伝送されてきた8K映像を表示できるようにする8Kデコーダも内蔵した。

業界初のスペック

 久保島力社長は「最新の接続規格と次世代規格に対応するとともに、外付けで数千万円する8Kデコーダを内蔵するなど業界初のスペックとなっている」と話す。ディスプレイは狭額縁を実現し、横置きにも縦置きにも対応したほか、薄型設計で総重量も90キログラムと軽量化を実現した。

 新システムはディスプレイだけでなく、配信のための基盤も実装している。構築したクラウド上の基盤「8K Viewtopia クラウド・プラットフォーム」は、8Kの映像コンテンツを簡単にアップロードでき、8Kディスプレイから好きなコンテンツを選択してストリーミングや、ダウンロードして楽しめる。久保島社長は「8K映像のエンコード、伝送、配信、表示を一貫して支援できるシステムで、映像制作会社などが8Kで撮影したコンテンツをすぐにアップロードし配信することもできる」と話す。

8K Viewtopiaは8Kの配信から表示まで全てをカバー
(写真は110インチ8Kディスプレイ、クラウド上の8Kコンテンツを選択できる)

 18年には8K映像のライブ配信を実現するなど、他社に先駆けて8K映像の展開に力を入れてきた。クラウド・プラットフォームは、アマゾンのクラウド基盤「AWS」上に構築しており、様々な負荷にも対応できるように設計している。8Kのライブ配信もできるため、スポーツイベントのパブリックビューイングなども簡単に実現できる。

8Kのライブ中継もインターネット経由で実現できる

 開発したシステムは490万円、プラットフォームは月額4500円で利用可能。無料の8Kコンテンツも多数用意されているほか、映像制作会社などが作った8Kコンテンツも数万円から購入できるようにする。BOEジャパンでも8Kコンテンツの作成を支援できるため、サイネージなどのオリジナル配信コンテンツも低コストで作れる。

 既に映像制作会社などから引き合いがあり、今後は8K Viewtopiaを中心にしたエコシステムの構築を進めていく計画だ。久保島社長は「8K撮影をしている企業をはじめ、商業施設や店舗、放送局などにも広く知ってもらいたい」と話している。