2021.03.18 【九州・山口産業特集】人吉アサノ電機ブランディングで新規獲得
浦川 常務
人吉アサノ電機(熊本県人吉市、浅野強社長)は、無線式ピーク電力制御システム「エレワイズ」の導入を加速させている。半期(10-3月)で獲得した新規客数は前期比500%。コロナ禍によるマグネットリレー事業の不調をエレワイズ事業が埋め合わせ、今期(1-3月)の実績は前年並みを維持している。10月に発売予定の新製品のテスト導入も進めている。
エレワイズは電力の使用量を自動で管理・制御するパッケージ商品。業界初の無線式により低コストで導入できるほか、クラウドを通じて容易にメンテナンスを行うことができる点が強みだ。現在は約280社が導入している。
新規客からの問い合わせが増えている背景として浦川敬常務は「ブランディングに力を入れてきたことが奏功した」と話す。一昨年から自社のホームページやWeb広告をリニューアルするなど、エレワイズの魅力をアピールする取り組みが実を結んだという。
電力使用量を抑えるエレワイズは省エネ効果が高く、環境に配慮した電力プランに注力している新電力会社との協業の準備も進めている。
温湿度やCO₂濃度など様々なデータを一括で自動制御できる新製品「エレワイズキャプチャーエディション」のテスト導入にも力を入れている。4月から発売開始の予定だったが、新型コロナの影響で県外への移動や機器の設置が難しい状況が続いているため、10月に延期した。
品質維持のため、温湿度管理が必要な畜産や物流業などから引き合いが多く、3月までに4社にテスト導入した。手動による管理よりも正確に数値を記録することができると高評価を得ている。コストを抑えられ、操作性の良さも好評だ。
浦川常務は「まずは畜産や物流施設、工場で検証データを集め、将来は教育現場や商業施設にも広げていきたい」と話した。
同社は昨年7月の記録的豪雨で被災した従業員や人吉市などの自治体を支援した。約8カ月経過した現在も、同市では建物の解体作業などが続く。浦川常務は「地域の復興にはまだ時間がかかる。地元企業として貢献を続けたい」と話した。