2021.03.26 【中国拠点特集】自動化・省人化動向組立から検査工程にも進展
SMK東莞工場のリモコン組立自動機
日系電子部品メーカー各社の中国工場では、労務費上昇と人手不足対応、顧客の品質要求高度化への対応などのため、生産ラインの機械化・自動化を加速させている。最近は、組立工程の自動化に加え、検査工程の自動化も進展。現地での自動機/半自動機の開発・製作のため、現地生産技術部門の強化・拡充にも力が注がれる。高度な自動化技術を活用し、中国工場で全自動の無人ラインなどを稼働させる部品企業も見られている。
中国進出の日系電子部品メーカーでは、生産ラインの自動化・省人化を進め、従業員一人当たりの生産アウトプットを拡大することが共通テーマ。各社は、生産工程の自動化/半自動化を進めることで、生産ライン1ライン当たりのオペレータを段階的に減少させる取り組みに力を入れている。
生産の自動化推進に伴い、自動化設備を効率良く稼働させるためのエンジニアの育成も重要性を増しており、生産ラインの自動化/半自動化と合わせ、オペレーションエンジニアのレベルアップが追求されている。
最近は、現地での自動機内製やマシンの現地設計開発などの取り組みも重視され、現地のレーバーコストによる効率の良い自動機・省力機開発に力が注がれている。各社の中国工場では、現地生産技術部門の強化・拡充が図られ、ローカルの生産技術エンジニアの採用・育成に力が注がれている。生産技術エンジニアの日本での長期研修などを実施する企業も多く、生産技術の現地化が志向されている。
一部の日系部品メーカーでは、中国国内に展開するマザー工場で、人手を一切必要としないフルオートメーションの無人ラインを一部の生産ラインに導入する企業も見られ始めている。各社はこれらの無人ラインを順次、拡張するとともに、将来的にはグループの他のグローバル製造拠点に応用展開することなども視野に入れる。
最近の電子部品市場は、特にスマートフォンやタブレット端末などのモバイル機器関連部品では月々の受注変動が激しいため、急激な生産の増減に柔軟に対応するための製造技術の高度化も求められている。このため、各社は生産設備の汎用性を高め、様々な部品の製造に対応できるフレキシブルな生産設備開発に注力。同一生産ラインの段取り替え作業の従来の手動切り替えからコンピュータ化へのシフトなども進み、業務効率の改善が志向されている。
最近は、検査工程などへの自動画像検査機の導入拡大などにも力が注がれており、画像検査機の現地内製化に乗りだす日系部品工場も増加している。不良検査の目視からカメラ検査への切り替えを行うことで、人にヒューマンエラーの排除も追求される。ICタグを活用した不良品のトレーサビリティ管理による業務効率改善などに着手している部品企業も多い。
最近は、人とマシンの調和を考慮し、肉体的・精神的に人が負担を強く感じる工程などを自動化し、人による作業と融合させることも志向されている。これにより、設備投資の抑制や、急激な受注変動にも柔軟に対応できる生産体制の確保に力が注がれる。加えて、精神的負担が重い作業を機械化することは、ワーカーの離職率上昇を防ぐうえでも有効となる。