2021.06.15 【ケーブル技術ショー 最前線】①「ニューノーマル時代」への新たなビジネスチャンスに向けて
会場の様子
人口減少や少子高齢化などの人口構造の変化に伴い、新たなライフスタイルが求められている今、ICTを活用した地域の課題を解決する取り組みが加速化している。こうした背景の下、社会全体で地域のデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)の実現に向けた新たなサービスや効率的なビジネスモデルが展開されている。特に昨年からのコロナの影響で、地域課題の解決や活性化を実現するDXの必要性は高まっている。
これまでインターネットや電話サービスなどのインフラと放送サービスのコンテンツの両方を持ち、地域のニーズにきめ細かく対応し、安心・安全で快適を提供する地域のインフラとして成長してきたケーブルテレビ(CATV)業界。2020年3月末で、全国加入世帯数は約3091万世帯で世帯普及率が約52.3%に達し、地域・社会の重要インフラとして位置付けられている。
今後、CATVを取り巻く環境の変化に対応するため、ICTを活用して人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる「地域DXの担い手」となり、事業領域の拡大と新たな顧客の創造を目指している。
ケーブルコンベンション/ケーブル技術ショー
6月3、4日、国内最大のCATV業界のイベント「ケーブルコンベンション/ケーブル技術ショー」が東京国際フォーラムで開催された。主催は、日本CATV技術協会、日本ケーブルテレビ連盟、衛星放送協会。今年はコロナ禍により、会場でのリアル技術展示会とオンライン展示会のそれぞれの特長を生かしたハイブリッド型展示会となった。
リアル展の来場者は合計3000人以上、技術セミナーに424人が参加。同技術ショーは、14日~7月30日までオンライン展示会が行われる。
今年は〝新価値創造Cable New Normal~ケーブル事業の新たな挑戦~〟をテーマに、ニューノーマル(新しい日常)時代への対応に向けたケーブル事業の新たな挑戦を支える技術ソリューション・製品が披露され、新たなビジネスチャンスの創出への期待が高まっている。
放送と通信の融合によりCATV業界が劇的に変化している中、MVNOサービスや地域BWA、無線LAN(Wi-Fi)などの無線サービスの活用への取り組みが本格的に進められている。CATVのインフラを活用するローカル5Gへの取り組みも積極的だ。「ケーブルと無線の融合」による地域の課題解決や地域活性化への貢献も期待でき、今まで以上に無線サービスの重要性が高まっている。
地上デジタル放送の高度化に向けた本格的な実験が始まっている。4K8K放送や高度ケーブル自主放送に対応した、ヘッドエンド(HE)や4K対応のセットトップボックス(STB)、光回線(FTTH)伝送路、光受信機(V-ONU)などが提案。次世代放送サービスの早期普及への取り組みも積極的だ。
近年、CATV業界でも「モノ」から「コト」へのサービス化に大きな注目が集まっている。これまでの技術・製品・ノウハウを活用したソリューション提供に力を入れているメーカーやCATV事業者が目立つ。今後も次世代インフラシステムやサービスの拡充・強化の促進が期待される。
ケーブルコンベンションでは、ニューノーマルにおいての地域の課題解決にCATV業界として業界の意識改革や業界内外との横連携促進を図り、地域IX、SDGs、新規ビジネスなど、新しいビジネスチャンスにつながるヒントになるようなオンラインセミナーが開催されている。開催は7月31日まで。
22年のケーブル技術ショーは7月28~29日、東京国際フォーラムで開催予定。
(各社紹介は順次掲載します)