2021.06.21 自然言語処理AIでデータビジネス本格化リコーが新サービス「仕事のAI」提供
新たなデータビジネス戦略を話す山下社長
リコーは、自然言語処理技術を使ったAI(人工知能)を活用したデータビジネスを本格展開する。同社は、「AI応用開発センター」が中心となってAIに取り組んできたが、4月からの社内カンパニー制移行と同時に、デジタル戦略部を設立。デジタルサービスの会社への転換を加速させている。7月から提供開始する新サービス「仕事のAI」事業では、2025年に売上高100億円の規模を目指す。
同社は、顧客企業から許諾を得てお客固有の情報資産(文書や映像、画像、音声などの各種データ)を自然言語処理AIで分析し、業務の効率化や新たな価値の創造を支援する新サービス「仕事のAI」の提供を開始する。
第1弾として、食品業界の大手・中堅企業向けに「RICOH 品質分析サービス Standard for 食品業」を7月中旬に発売する。コールセンターやヘルプデスクに集まる膨大な問い合わせ情報(VOC)を自然言語処理AIで分析し、重要度順に表示できるため、迅速な顧客対応や品質改善によるリスク低減などへの貢献を目指している。
仕事のAIは、国内販売会社のリコージャパンがニューノーマル(新しい日常)環境下での業務効率化や生産性向上を実現するソリューション商品群「RICOH Digital Processing Service」のラインアップとして提供していく。
今後、さまざまな業種・業務に対応したサービスを追加。大手・中堅企業だけではなく、中小企業までの幅広い企業向けにラインアップを拡充していく計画。
同社は、先に「2025年 リコーの中長期目標」を発表、デジタルサービスの会社としての経営基盤の強化などを鮮明にしている。17日にオンラインで行われた仕事のAIの発表会見で、山下良則社長は「お客さまの〝はたらく〟を支えるのは、三愛精神(創業の精神)の原点。培われた技術力と顧客価値提案力で、リコーらしいデータビジネスを提供していく」と強調した。
また、新たに開始する仕事のAI事業についてリコージャパンの坂主智弘社長は「お客さまのドキュメントを利活用し、業務の代替と価値創造を支援していく」と話し、世界100万社以上の顧客と潜在データ、独自の自然言語処理AI技術、お客と共創していく現場力を強みに「新たな価値創造につなげることで、DXに貢献する」と説明した。
仕事のAIは今後、順次対象領域などを拡大させ、海外展開も視野に入れる。25年には売上高100億円の事業規模を目指す。
同社は、デジタルサービスの会社に必要な経営基盤の強化を図っている。「今後、デジタル人材の質・量ともの充実を図っていく」(山下社長)方針だ。「プロフェッショナルグループ、デジタルビジネスを展開するデジタルイノベーターとともに、国内社員3万人のデジタル資質のリテラシー強化を図っていく」と山下社長。
こうした戦略の一環として、4月にデジタル戦略部を設立した。同部基盤開発統括センターの梅津良昭デジタル技術開発センター所長は「AIのみならず、DXに寄与するマインド、プロセス、開発技法の向上を担っていく」と強調する。