2021.06.23 【テクノフロンティア特集】電源技術自動車など成長分野に照準

非絶縁型昇降圧DC-DCコンバーター

 電子機器の高性能化や高効率化ニーズの高まりを背景に、電源技術の高度化が進んでいる。

 パワー系電子部品各社は、自動車、産業機器、モバイル端末などの成長分野に照準を合わせ、マテリアル、プロセス、評価技術をさらに高度化させながら、電源の新製品開発をサポートする。

 自動車分野では、EVなどの電動車の台頭により、モーター制御のためのインバーター、DC-DCコンバーター、充電器などの開発が活発化している。振動、衝撃、温度などの耐環境性に優れ、小型・軽量で高効率化などが求められている。

 また、安全系をはじめ、自動運転に向けた機能強化でECUの搭載点数が増加し、その電源回路の小型・高信頼性化技術も強く要求されている。

 太陽光発電パワーコンディショナー(パワコン)には絶縁型と非絶縁型があり、従来はアナログ制御の非絶縁型が多かったが、最近ではDC-DCコンバーターの制御にデジタルを用いた技術が採用され、小型、軽量、高効率、高信頼でコストパフォーマンスに優れたパワコンが出現している。

 再生可能エネルギーと蓄電システム分野における直流給電に対しては、1台で低電圧と高電圧を双方向に昇降圧できる高効率な絶縁型の双方向DC-DCコンバーターの開発が進んでいる。

 スマートフォン、さらにはIoT関連端末などの分野では、さまざまな半導体デバイスを駆動するための超小型、低背のDC-DCコンバーターモジュールが搭載される。

 電源を構成する電子部品の小型・低背化技術も進展している。スイッチング素子や整流素子は、ハイパワー化、高耐圧化に向けて、シリコンに替わり、SiCやGaNを用いたパワー素子の開発が活発化している。

 制御回路については、マイコン、DSPの進化により、デジタル制御方式を採用した電源の開発が相次いでいる。

 アルミ電解コンデンサーは、小型、長寿命化、高耐熱化の追求とともに、高電圧化技術が進展、導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサー(ハイブリッドコンデンサー)などの新製品開発が活発化している。

 スイッチングトランスは、低損失フェライトコアの最適設計により、小型・薄型・高効率化に向けた開発が進んでいる。

 コイルは、フェライトコアやアモルファスコア、さらにはメタル系など磁性材料を使い分けることで、最適な製品を提案する。