2021.06.24 日立の小島新社長、研究開発に積極投資株主総会で表明

 日立製作所は23日、東京都内で定時株主総会を開き、小島啓二新社長を含む13人の取締役候補選任案を可決した。小島氏は、バイオテクノロジーなどの成長分野に研究開発投資を積極的に行う考えを改めて示した。

 東原敏昭氏は総会後に、会長兼社長兼CEO(最高経営責任者)から会長兼CEOに就任。小島副社長は社長兼COO(最高執行責任者)に就いた。

 日立が収益力を強化する一環で加速してきたグループ事業の再編は大詰めを迎え、攻めの成長戦略に移行しつつある。3月には米IT企業のグローバルロジック(カリフォルニア州)を総額96億ドル(約1兆円)で買収すると発表。主力のデジタル事業「ルマーダ」のグローバル展開に弾みをつけるための布石を打った。

 東原氏はグローバルロジックを買収した狙いについて、「顧客との協創により浮かび上がった課題を現場からクラウド、モノからネットワークまで一気通貫で日立グループが解決できるようになる」と強調した。

 東原氏は株主の質問をきっかけに、「日本国内にとどまって満足しているようでは、やがて日立は淘汰される。グローバルリーダーでないと闘っていけない」と決意も述べた。

 ルマーダを成長に導いた立役者の小島氏は、研究開発戦略に関する株主の質問に、「日立が成長するときに最も重要なのは、いろいろな製品や技術でどんどんイノベーション(革新)を起こすことだ」と回答。さらに、デジタルや環境分野と並んで「バイオテクノロジーも非常に重要になる。成長のための研究開発にどんどん投資し、新しいイノベーションを起こしたい」と意欲を示した。

 既に日立は、高い市場成長率が見込まれるヘルスケア分野に21年度から3年間の累計で3000億円投資し、コア事業に育てる方針を打ち出している。