2021.07.26 THK、オムニエッジに新サービス追加故障部品の優先手配など提供

寺町 専務

「OMNIedge」に新サービス追加「OMNIedge」に新サービス追加

 THKは、製造業向けIoTサービス「OMNIedge(オムニエッジ)」の普及、拡大に取り組んでいる。同サービスに新たに「製造ゼロ待ちチケット」と「IoTリスク補償」の提供を9月1日から開始する。

 OMNIedgeは、LMガイドやボールねじなど機械要素部品にセンサーを取り付け、「THK SENSING SYSTEM」を活用して、独自のアルゴリズムにより収集したデータを安全な通信網を介して数値化、解析することで状態診断、予兆検知を実現するシステム。

 2020年1月からLMガイドを対象にサービスをスタート。ボールねじ、アクチュエーター、回転系部品に順次対応してきた。海外の通信網を使ってOMNIedgeが利用できるグローバルSIMの対応を米、タイ、インドネシア、中国の4カ国でスタート。その後、日系企業の工場がある国々(メキシコ、東南アジア諸国など)にも展開している。

 ファナックが提供する製造業向けオープンプラットフォーム「FIELD system」との連携を今年4月から開始した。さらに7月からは中国でも本格的なサービスを開始した。

 寺町崇史取締役専務執行役員は「OMNIedgeは、センサー、アンプ、通信機器一式を通信費込みで提供するパッケージ型サービスへと拡充している。簡単、安全、初期コストゼロ、既設の設備に後付け可能なことなどから実績が伸びており、多様な業種約600設備に納入し、自社工場の設備約700台にも設置した。製造現場での機械要素部品のCBM(Condition Based Maintenance=状態基準保全)を加速させるため、新たなサービスを導入することになった」と説明する。

 国内製造業では、高齢化による労働力不足を補う機械やロボットによる自動化が進む一方、製造装置の保守点検作業は熟練作業員の経験に依存しているケースも多い。OMNIedgeは人手によらず定量的に部品の状態を常時把握し、適切なタイミングでの保全実施が可能になることから、突然機械が故障するといったリスクの低減に役立っている。

 新たに追加するのは製造ゼロ待ちチケットと、東京海上日動との連携によって実現したIoTリスク補償の2サービス。製造現場で機械が故障した際、迅速に修理して正常な状態に戻すために必要な部品の入手や、万一、センサーが反応せず故障が起きた場合、修理に係る費用負担の不安が生じる、といったOMNIedgeの顧客の不安を解消するために追加することになった。

 製造ゼロ待ちチケットは、OMNIedgeを利用している顧客の機械・装置において、センサーを取り付けたLMガイドやボールねじなどの機械要素部品の不調・異変により、交換が必要になった場合、優先的にTHK工場に交換部品の製造を手配できる。OMNIedge搭載の装置であれば、同チケットによって、交換部品の納期の心配がなくなる。

 IoTリスク補償は、OMNIedgeの予兆検知機能が働かず、センサーを取り付けていた機械要素部品(LMガイド、ボールねじ、アクチュエーター)に損壊が発生した場合に限って、原因箇所の機械要素部品の価格と交換に係る作業費(最大100万円まで)が東京海上日動の保険によって補償される。OMNIedgeの契約時に自動的に付加されるため、特別な手続きは要らない。