2021.08.06 JAXAが小惑星「リュウグウ」の試料を熱分析リガクの分析装置を利用

試料を分析中のリガクの熱分析装置

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)はこのほど、リガク(東京都昭島市)の分析装置を使い、小惑星探査機「はやぶさ2」が採取した小惑星「リュウグウ」の試料の熱分析を行った。

 太陽系の起源を探り、地球に水や有機物がもたらされた経緯を明らかにすることを目的としたプロジェクト。
JAXA宇宙科学研究所の橘省吾特任教授と北海道大学の圦本(ゆりもと)尚義教授が4日、リガク本社を訪問。同社の示差熱天秤(てんびん)-ガスクロマトグラフィ質量分析同時測定システムを使って、砂や石などサンプル中に含まれる水分量を測定した。

 橘特任教授はサンプルの基本データを取得する初期分析チームを統括。チームはさらに六つに分かれ、圦本教授は鉱物の化学組成を明らかにする化学分析チームのチームリーダーを務めている。
はやぶさ2が2回の着地で採取した試料は計5グラム。粒子径は約1ミリメートル~最大1センチメートルだった。

 一般的な隕石(いんせき)には0~20%の割合で水分が含まれるとされる。リュウグウは、生物の最も基本的な要素である炭素など有機物や水を多く含む天体と考えられている。

 検査の結果は1年以内に公表される見通し。初期分析チームが各試料のスペクトル(波長の強度分布)や重さ、大きさ、色などの解析データをまとめて分類する。その後、試料は国際的な公募研究で使用される予定だ。